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2008年10月28日

Cantando---Bobo Stenson Trio

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

Cantando---Bobo Stenson Trio
2007年12月12日、13日録音
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私が「ジャズ」を聞き始めた時
すでに「ジャズ」は歴史になっていました。
時代の音は、ロックであり、ニューウエーブであり、フュージョンであり。
「ジャズ」を聞くということは、「ジャズ」を勉強すること、その歴史を学ぶということでした。
「ジャズ」というものが、すでにあった、ということです。
それは「ジャズ」という音楽が死んだ音楽であったということでもあります。

「ジャズ」とはなんでしょう?
「ジャズっぽい」----jazzy、などという形容詞もあります。
夜の音楽、ムーディな・・・。
そうしたテイストを楽しむための音楽として「ジャズ」は位置づけられているのかもしれません。

それは形式化された「スタイル」としての「ジャズ」。

しかし、私は高校生の時に
近所のレコード屋の店長さんに導かれて
形式化された「スタイル」としての「ジャズ」を学びながら
生きている「ジャズ」、当時の硬派なジャズ好きが聞いていた「ロフトジャズ」も貪るように聞いていたのです。

生きている「ジャズ」は、形式化された「スタイル」を振りきる躍動感に満ちあふれていました。

実は、私は「ジャズ」という音楽は、カテゴライズされない自由な音楽だと思っています。
時代とともに生きる音楽。

ジャック・ケルアックの「路上」では
ビ・バップのサウンドが生々しく響いています。

ですから、「ジャズっぽい」というような形容詞にはいささか違和感を感じてもいます。
(形式化されたジャズの空気も大好きなんですけれどもね)

「ジャズ」の中でも人気のある「ピアノトリオ」という演奏スタイルがあります。
ピアノにベースにドラムス。3人が作り上げる空間。

現代のピアノトリオは、ビルエヴァンストリオが始めた
3者対等のインタープレイを基本としています。

しかし、それだけでは形式化された「ジャズ」の再現にしかならない。
もちろん、それを喜ぶことも私にだってありますが、音楽の懐はもっと深い。

Bobo Stensonという北欧のピアニストは今年64歳。
Keith Jarrettより一つ上の同世代。
ちょっと意外な感じです。

Bobo Stensonを知ったのは、ECMでの3枚目の「Serenity」でした。
私の中の「ピアノトリオ」という形式が微細な粒子となって解き放たれた瞬間でした。
前作の「GoodBye」では、「ピアノトリオ」らしい演奏になっていて聞きやすかった、逆に言えばつまらなかったのですが、この新作では、また新たな可能性があふれていると思います。

秋から初冬にかけての、透明な空気と響きあう音。
これは「ジャズ」ではないかもしれません。
これは「ピアノトリオ」ではないかもしれません。

でも、音。
でも、音楽。

音が空間を解き放っています。



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投稿者 furukawa_yasushi : 2008年10月28日 11:20

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