« yagen_House---上棟式 | メイン | 「TINY HOUSE」---レスター・ウォーカー »

2008年12月15日

伝統構法、そして 2x4

[a-家づくりについて---house_making ,建築--architecture ]

2x4工法の現場を一度見に来ませんかという
工務店さんからのお誘いで行ってきました。
2x4工法と一口では言っても
パネルを工場で組み立てるものと現場で組み立てるものとがあり
今回見せていただいた物件はプレカットされた部材を使って現場でパネルを組み立てていました。

40坪弱の3階建てですが、1〜2人掛かりでおよそ1ヶ月(25日)で箱が組み上がるのだそうです。
延べ人工数で40人日程度でしょうか。
箱さえ組み上がれば下地もできていますからそこから1ヶ月少々で家は完成して引き渡しができると言っていました。
これが工場でパネルを作って持ってくる方法ですと、5人掛かりで2日ほどで組み上がるのだそうです。
組み立てから完成まで一ヶ月半!

一方、さらにその前の土曜日に大先輩の建築家が伝統構法で工事をしている現場を見せていただきました。
こちらは、40坪強と少し規模は大きいのですが、構造を組み上げるのに3〜4人掛かりで1ヶ月(25日)かかったそうで、延べ人工数でも80人日以上はかかっているとのことでした。
さらに、そこから野地板を取り付けたり下地をつくる作業が始まるわけですから完成引き渡しまではまだまだ長い道のりです。

一般的な在来構法では上棟に4〜5人掛かりで2日ほどで、そこから下地をつくり始めますから、大工工事はたっぷり2〜3ヶ月。さらに完成まで1ヶ月。こちらも完成までは長い道のり。

こうして比べてみると、2x4工法は圧倒的に工期が短い。在来工法の半分、伝統構法の3分の1、というところでしょうか。

工期が短ければコストも下がる。
というわけで、今まではコストで勝負する場合は2x4工法を採用する方が有利だったのです。
今までは、と書いたのは、これからは違うと、2x4工法を主力で戦ってきた会社の人が言っていたことですが、2x4工法はどうしても木材をたくさん使うことになります。特に、欧米の針葉樹をメインに使っているのですが、そうした欧米材の価格が高騰しています。ロシアが輸出材に高い関税をかけるということも発表されていますし、ますます欧米材の価格は上がってゆく。すると、今までのような価格面でのメリットが2x4工法にはなくなる。それどころか、他の工法に比べて高いものになる可能性もある。

そうなってくると材料を使わない工法が良いということになる。実は材料を使わない工法とは在来工法なんです。ひょっとすると、近い将来、在来工法は一番リーズナブルな工法になるのではないかと思っていたりします。

もちろん、家づくりはコストだけで決まるものではありませんが、住宅産業という大きな流れはコストと切り離しては考えられず、我々もそうした住宅産業の大きな渦の中に巻き込まれながら活動をしているわけですから無縁とも言い切れないのが現実です。

実際に、どの工法がこれから生き残ってゆくのか考えると面白いのですが、個人的には在来工法と2x4工法の中間になるのではないかと想像しています。とは言っても、それがどのようなものなのか具体的に示すことはできなのですけれども。そこは創造力の勝負だと思っています。

<081218.追記>
昨日聞いた話ですが、ロシアが関税を上げるのを急に取りやめたようで、それを見込んで対策していた人々は大混乱、なのだそうです。状況がコロコロ変わりますね。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2008年12月15日 09:40

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1752