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2009年10月16日

「ついていく父親」---芹沢俊介

[books ]

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「ついていく父親 胎動する新しい家族 」
著:芹沢俊介 出版:春秋社
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「家族のエロス」という概念からこの本は始まります。
精神学者ウィニコットの<する><ある>という考え方から<母=乳房>として子供にとっての乳房がそこに<ある>ということの大切さをとりあげ、母と子、そして家族同士の一体化を「家族のエロス」とします。家族にはエロスが必要であること、エロスによって家族が子供を受け止めてあげることが家族には必要であることがこの本の出発点です。
「家族のエロス」から家族を四つに類型化します。

1、多世代同居型家族
昔からの大家族。三世代、四世代がひとつ屋根の下に暮らす家族

2、単世代同居型家族
いわゆる核家族。一世代のみの家族で暮らす。

3、個別ー同居型家族
夫婦の個別性が主張され始める。夫婦別々の寝室で暮らす。

4、個別ー別居型家族
家族がひとつ屋根の下に同居すること自体が崩壊した家族。完全別居型。

1から4へと家族像が変わってきていること。それには、家族のなかにおいても「我」の意識が高まってきたこと。特に女性、母親の「我」の意識の高まりは、家族のエロスの引き受け手を家族が失い、家族構成員が別々の暮らしをする方向に導いていると芹沢氏は指摘します。「ついてゆく父親」というイメージは家族が中心を失ったことを示しています。

「家族のエロス」という考え方は、住まいの中に必要な空間とはどういうものかを考えるのにとても参考になると思います。
さらに、私は職業柄、家族の類型に興味を持ってこの本を読みました。
「個別ー別居型家族」というあり方は、確かに現れ始めていると感じます。
藤森照信さんが言う「分離派」もその現れのひとつでしょう。

住宅の設計関わる身としてとても面白い内容を持った本です。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2009年10月16日 01:15

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