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2010年08月31日

下山先生の講義 第五回 近世-2

[建築--architecture ]

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9月29日、日曜日
東京芸術大学にて下山眞司先生の講義の第五回目が行われました。
今回は近世の二回目で、前回の城郭と書院に引き続き庶民の住宅についてのお話となりました。

多くの事例の紹介を通じて、どのような考えで作られていたのだろうかという大きな問に自ら答え、聞いているものにも考えさせる講義は、いつもながら刺激的です。
そして、それらの住宅が長期にわたり住み続けられた原因を、次の四つにまとめられていました。

いただいたテキストから引用させていただきますと

1、当初の建設された建屋の規模が適切である。

2、当初の設定が、住まいの基本に忠実で、建屋全体を基本的にワンルームとし、その内部のゾーン分けの比率が適切であり、架構もゾーン分けに矛盾していない。

3、架構そのものの改修、改造は、(中略)小屋架構まで変えるような改造は行なわないで済んでいる。

4、簡潔な工法でつくられている。その結果、材料の加工や竣工後の補修・修繕なども容易であった。

という四つです。

さらに、これらのことが誰の目にも容易に理解できたことが大切だとしています。農家住宅を手直しは農家の人自らの手で行ったわけですから、それを可能にするシンプルな技術によって家が作られていた事が長く住み続けるために大切だったことは容易に理解できるところです。

実は、こうしたことは、私が「やっぱり、木の家がほしい!」で書かせていただいた、木造軸組工法が長く使い続けることができるとした考えと重なっていますし、私がハーフビルドと言って提案している、住まい手と長く使い続けてゆく成長する家づくりにもつながるものがあります。

先生の講義を聞いていたのは、今から23年前のこと。その頃に聞いていたことが、私の中に染みこんで種となり、こうして発芽したのか、あるいはもともと私の中にそのような種があったのか、それを判別することは、とうてい不可能なことに思えてきます。どちらにしても、私の原点となる考え方を先生の講義の中に発見することができて、不思議な感じを持ったとともに、自分の考え方がブレていなかったと確信を持つことができたことは嬉しいことです。

先生の講義は来月で最終回。私は諸般の事情で参加できないのですが、この講義は建築に関わる多くの人に聞いてほしい内容が詰まっていると思います。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年08月31日 08:05

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