« Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano North America Tour 2010-LOS ANGELES | メイン | 「建築家のピカイチ間取り集」 »

2010年11月12日

「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」---村上春樹

[books ]

101112-muha.jpg

「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」
村上春樹インタビュー集 発行:文藝春秋
amazon

1997年から2009年にかけてのインタビュー集。海外のものが多数収録されていますが、邦訳されて発表されたのは初出のものが多いのではないでしょうか。

自動筆記のように小説を書き始める村上春樹の方法はとても興味深いところです。「物語」がどこにあるのか、どこから生まれるのか、ひとりの人間が生んだ「物語」に、どうしてこれほど沢山の人達の心が揺さぶられるのか。想像と創造の不思議な世界は、実は私たちのとっても身近にあるわけで、人と人を深く繋ぐその世界を私たちは無意識のうちに信じて生きていると言ってもいいのではないでしょうか。

建築の世界では空間の魅力を語るときに「スケール感」という言葉を使います。では、そのスケール感が人々の感覚として成立するための根拠はどこかというと、人の身体のサイズからということになります。たしかに、私たちは自分の手の大きさ、足の大きさ、などでモノの大きさを把握している。しかし、だったら、身体の大きい人と小さい人ではスケール感が異なるのか、空間の魅力は異なるのか、というと、そうではないのが建築の面白いところ。そこには、なにやらゆるけれども共通して我々がもっている大きさの感覚があるようです。この共有感がなくては、実は建築の設計はできないかもしれません。

言葉も同じでしょう。あまたの言葉の意味するところは、それぞれの人の生きてきた経験によって裏付けられている。しかし、だからといって言葉が独りよがりのものにならないのは、なにかそこに大きな秘密があるからです。

村上春樹のこのインタビュー集を読んでいて、そんなことを考えてました。

とても、とても、面白い本です。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2010年11月12日 14:05

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/2238