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2011年06月06日

「ハメット」---ヴィム・ヴェンダース

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

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「ハメット」
監督:ヴィム・ヴェンダース
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ダシール・ハメット(Samuel Dashiell Hammett、1894年5月27日生 - 1961年1月10日死去。
レイモンド・チャンドラー(Raymond Thornton Chandler, 1888年7月23日生 - 1959年3月26日死去)。
ハメット。ハードボイルド探偵小説の揺籃であったアメリカのパルプ・マガジン『ブラック・マスク』1922年デビュー。
チャンドラーは1933年にデビュー。
年齢はチャンドラーのほうが6歳ほど上だけれども、デビューは10年以上、ハメットのほうが先です。ということで、ハメットがハードボイルド探偵小説の生みの親でチャンドラーはそれをさらに深化させたという見方が出てきます。

この映画はそうした実在した小説家ハメットを主人公としたジョー・ゴアズ原作の小説を映画化したものです。エグゼクティブプロデューサーがF.コッポラ。コッポラはこの原作の映画化にあたり、「アメリカの友人」のヴェンダースに監督を依頼しました。1975年のこと。そして、この映画のアメリカ公開が1982年。なんと制作期間が7年。なんどもの中断と、ゼロからの作り直しとなったといいます。

その経緯は「Wim Wenders Unofficila Fansite」に詳しく書かれていました。

出版前のゴアズの「ハメット」を読んで映画化しようと、コッポラの右腕のプロデューサーでゾーイトロープ・スタジオのフレッド・ルースは最初はニコラス・ローグに依頼したがタイミングが合わずはずれる。また、トリュフォーに依頼して断られたりしている。結局「アメリカの友人」を見てヴェンダースに決めた。 第一稿はゴアス自身によるもの。撮影開始直後にコッポラの意向で撮影中断。 トーマス・ポープがヴェンダースと協力して第二稿を書くが、これを撮影前に感じをつかみたくて音声部分をラジオドラマ化したらコッポラが気に入らない。 第三稿をデニス・オフラハティに書かせている間、ヴェンダースは「ニックス・ムービー」を撮影する。撮影は再開され、ラスト10分を撮れば終わり、というところで、当時の妻ロニーがしきりに介入して来たことを嫌ったコッポラがまたも撮影を中断させた。この時のバージョンではロケが中心だった。次のバージョンではロニーの配役はなかった。 第四稿をロス・トーマスが書いている間、ヴェンダースは「ことの次第」を撮影する。今度はほとんどがスタジオで撮影され、最初のバージョンはまるで使えずに完全取り直し。猛スピードで撮影され、編集が行われた。 実際、そこまで苦労しただけの収益をあげられたわけではなかった。だがまぁ、ともあれ、経緯を聞くにつけ、よく完成したなと思う。またこれだけ困難な状況の中で、自分のものとして恥ずかしくはない結果を出すようになったのだから、ヴェンダースにとってはさまざまな困難を乗り越え、一流になる過程として必要だったのかもしれない。 (同サイトより)

さきのサイト管理人が「よく完成したな」と言われているとおりだと思います。最終的にはフルセットで撮影されていてそのセットの出来が悪くなくある種の濃密な空気感が出ていて見ていても飽きがこない、というかよく出来ています。一方、映画としてどうかというと、これは「?」。ヴェンダースの他の映画で感動している人からすると「駄作」と言われても仕方がないかもしれません。

ヴェンダースフアンは日本には少なくないと思いますが、フアンの誰もがヴェンダースの作品のすべてを愛しているかというと、ちょっと難しいところがあります。実際私もヴェンダースのフアンですが「うーん、どうかな」という作品がないわけでもありません。興行成績も「ベルリン天使の詩」のように、永久にロングランされるのではないかという大成功を収めた作品もありますが、他の作品では興行的にはかなり厳しいのではないでしょうか。
実際に2008年の「The Palermo Shooting」はついに日本公開がされませんでした。ヴェンダースほどの監督の作品としてはかなり残念なことです。Youtubeに予告編がありますが、見る限りいい感じなのでなおのこと残念。

次回作はモダンダンスのドキュメンタリーということで日本での配給元も決まったとの噂もありますから、公開される可能性が高いでしょうか。フアンとしては気長に待つことにしましょう。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2011年06月06日 10:50

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コメント

スタイリッシュ ぽくて いいですね。
私も ヴェンダース作品のファンです。
全作は見てませんが。パリ・テキサス 泣けた。

docomo の スマートフォンのTVコマーシャル
ベルリン天使の詩 からの影響かな。
いま、ふと 思いつきました。

投稿者 SOCIUS : 2011年06月06日 15:27

SOCIUSsama
パリ・テキサス、いいですね。
さすらい とならび、僕も大好きな一本です。

投稿者 fuRu : 2011年06月06日 23:23