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2011年09月14日

mokusei_House(R)---耐震補強

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「mokusei_House」は改修工事。暑い夏を乗り越えながら工事進行中です。

木造住宅の改修工事では、必ず耐震診断を行ないます。

耐震診断は評価点として結果が出てきます。その結果が1.0以上であれば、阪神淡路のような巨大地震が来ても、倒壊はするけれども中にいる人が建物の下敷きになって圧死してしまうということはない程度に地震に対して強いということになります。建物は壊れてもひとが死んでしまう確率を可能なかぎり下げるということです。これが診断の基準です。

一方、巨大地震が来ても倒壊しないのは評価点が1.5以上ということになっていますが、評価点を1.5以上にすることは工事としても大変です。大変だから、それはコストもかかるということです。さらには、自然現象は未知な部分も多く想定外ということがおこりますから、評価点を1.5以上にすれば何が起こっても絶対に倒壊しないというわけではないのです。
こうしたことを毎回、住まい手さんにご説明しています。その結果、命の安全を最優先しコストパフォーマンスに優れた評価点1.0以上になるように補強計画を立てることが多くなります。

耐震診断の結果をみて、耐震補強計画を行います。
「mokusei_House」では、耐震診断の結果はあまりよろしくありませんでしたので耐震補強工事を行うことになりました。写真は筋かいを追加していれたところです。これで、一般診断法による評価点を1.0以上になるように計画しました。

ところで、耐震診断には「一般診断法」と「精密診断法」があります。「精密診断法」は建物の剛心と重心の関係を偏心率という数字で出す必要があり、その計算がちょっと面倒であることと、建物の傷み具合を細かく調べる必要がありますので、調査に時間がかかります。「一般診断法」ではその点が手軽で手計算でも簡単にできるようになっていて、構造の専門家でなくとも講習会を受けた建築士ならば出来るようになっています。

「mokusei_House」では当初は「一般診断法」に基づいた耐震診断を行ない耐震改修計画も「一般診断法」をもとに考えていました。ですが、本来は耐震補強計画は「精密診断法」をもとに行うことが必要とされています。ただ、それでは、耐震改修工事の敷居が高くなってなかなか進まない。日本国内には大地震で倒壊の恐れのある家屋がたくさんあります。それを一件でも多く早急に補強して大地震に備えないといけない。そういうわけで、ある意味、特例で「一般診断法」にもとづく耐震改修も認められているというわけです。

アトリエフルカワでも当初は「一般診断法」による耐震診断と耐震改修を行っていました。しかし、それでは、診断も補強計画も精度が低いということを、やればやるたびに実感してきました。そこで一念復帰、「精密診断法」を自分で出来るようにしたのです。

「mokusei_House」でも耐震補強計画を「精密診断」で評価しなおしてみましたら、なんと評価点が1.7以上になったではありませんか。これはすばらしい。「一般診断法」による耐震補強では、どうしても安全側に判断がいってしまうようです。安全側であれば問題ないのですが、必要十分の改修範囲を「精密診断」ではもっと厳密に考慮することが出来ますから、改修工事のコストの調整幅が広がります。これは、住まい手にとっても良いことですよね。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2011年09月14日 08:50

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コメント

なるほど、ちょうど耐震構造について考えていたので参考になりました!この「精密診断」での評価というのはどんな風にされるのでしょうか?意図としては、震災時、我が家も多少揺れはありましたがおかげさまでしっかりしていたので、安心でした。ただ、この記事を目にして、ガラス面が多いため、どうなのかなぁと素朴に知りたいなーと思ったまでです。地震に対する耐震構造については今回の震災から意識の変化により非常に高まっているので、基準についても改訂されてきたりしている(まはたしつつ?)のかなーと思っています。建築家さんはデザインもさることながら、品質や様々なところに気を配らなければならないし、そのバランスをとりつつ考えてらっしゃるんだなと改めて感じました。

投稿者 shijimi : 2011年09月25日 13:57

shijimi さま
精密診断は地震が来た時に必要とされる壁の量とバランスをみます。その壁がどのくらい地震に強いか、そしてその程度傷んでいるか、金物の補強はちゃんとされているか、ということで評価してゆきます。
shijimi_Houseでは大開口のガラス面がありますが、コボットブレースという、ステンレス製の細い棒をバッテンでいれる耐震補強金物がついていますので大丈夫です。
今回の地震では揺れによる建物への被害はありましたが大きくはありませんでしたので、耐震の考え方が見直さえるということはないでしょうね。

投稿者 fuRu : 2011年09月25日 15:09

なるほど〜。「壁の量とバランス」。耐震の考え方に変化はないのですね。そうですか、なんかちょっと安心しました。
もうshijimi_Houseはおかげさまで2006年に完成して、今年で6周年?!早いですね!その間、私自身もいろんなことがあり、人生の時間をこの家で過ごし、この家と共に年月を重ねられることに感謝しています。古川さん、河合さん(家族や友人も)がこの家に関わってくださって本当に良かったなぁと、とても幸せに感じています。
念願だった、街中だけども自分の故郷のような小さな家。だからこそ、この家を大切にして長ーく住みたいです。
やっぱり、木の家はとてもいいですね。ホッとするし、安心するし、あったかいし、なにより心が安らぎます。
そして我が家は、入居当時よりも植物やモノがすごーく増えて、木も傷が増えてしまったけど、それが全て味となって愛着がわいてきます(笑)

投稿者 Anonymous : 2011年09月27日 22:26

ごめんなさい、名前明記するの忘れてました〜!

投稿者 shijimi : 2011年09月27日 22:29