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2011年09月16日

ストック型社会とシェアハウス・デザインリノベーション

[a-家づくりについて---house_making ]

シェアハウスがこのところ人気なのだそうです。
昨日のFacebookでシェアされた記事です。

「交流」「共同」が魅力のシェアハウス 震災と大手参入でブーム再燃の兆し(週刊ダイアモンド)

この春まで大学院で集合住宅の研究に関わっていたうちのスタッフに聞くと、建築学会の研究論文もシェアハウスをテーマにしたものがとても多くなっているのだそうです。
そのスタッフに「ひつじ不動産」って知っていますか?と聞かれて、勉強不足の私は全く知らなかったもので、一生懸命ネットで検索して調べてみました。「ひつじ不動産」というのはシェアハウス専門のポータルサイトなんですね。

価値観を共有したものが一つ屋根の下で一緒に暮らすというのが、このところのシェアハウスの基本コンセプトのようで、「ひつじ不動産」でも「キーワード=価値観」が物件を探すときの大切な要素になっています。

シェアハウスの住人は一生そこで暮らすということはあまり考えてはいないようです。定住よりはその時の価値観が大切ということなんですね。そして、最終的には同じ価値観を持ったものが集まるグループホームというシェアハウスにたどり着くのでしょう。

じつは、数年前のことです。シェアハウスにこれから人気が集まるだろうなと、賃貸アパートの計画を相談されたときに提案してみたのですが、その時は完全無視されて実現ならずだったのですね。この数年でずいぶんと変わったということでしょう。

この変化の要因は色々分析できると思いますが、それよりも、戦後の復興期から続いてきたマイホーム至上主義といいますか、持ち家志向が、大きく変わってきているのだなという点が面白いと思いました。

一方、これは今日のFacebookでシェアされた記事ですが、長期優良住宅への関心の高さが持続しているのがわかります。

長期優良住宅認定 3カ月連続で1万戸超(新建ハウジング)

長く住み続けることが出来るというのが長期優良住宅です。私も社会が消費型からストック型へ変わってゆくために長期優良住宅という制度は大切だと考えています。この記事を見ていると持ち家志向が決して弱くなってはいないということもわかります。シェアハウスの動きと相反する動きのようにみえます。

そんなことを考えていると、今度はスタッフが「ブルースタジオ」って知っています?と聞いてきます。はたまた不勉強を露呈している古川ですが、全く知らないもので、こちらもせっせと検索してみますと、デザインリノベーションで不動産を有効活用しようというところみたいです。

ホームページを見てみますと、実におしゃれにリノベーションされた物件が並んでいます。すべて住宅です。でも、そのおしゃれ感は、どこかショップのような感じがあります。あるいは、カフェみたいな感じです。ショップもカフェも、日常空間ではありません。要するに、今まで住宅になかった感じがそこにはあるのですね。一見して、こういう空間は飽きるんじゃないかなと思いました。でも、よく考えたらこれらは賃貸なんですね。飽きたら引っ越せばいい・・・。そういう考えも成り立つのでしょう。

ただ、ブルースタジオは中古住宅のリノベーションがメインです。箸にも棒にもかからなかったボロボロの中古住宅を、大勢の人が住みたいと思える素敵な空間に変身させているわけです。これは実はストック型社会を実践しているわけです。

長期優良住宅とデザインリノベーションが、この時、私の頭の中でひとつに結びつきました。
スケルトンとインフィルの考え方です。
長期優良住宅で提供されたしっかりとした住まいの箱をスケルトンとして、そこにデザインリノベーションで息を吹き込みながら使い続けてゆく。
それは、持ち家でなくて良いですね。社会のストックとしてシェアされるスケルトンに、自分の価値観を実現するためのデザインリノベーションで生まれた空間を価値観を共有する者どうしで住むという、シェアハウスも成立します。

社会は、スケルトンの箱を「生産する側」と、デザインリノベーションで「再生する側」に別れて協業してゆくことになるかもしれません。そして、その時、私が考えるハーフビルドの考えが、デザインリノベーションの「再生する側」の有効なツールとなるに違いありません。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2011年09月16日 11:50

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