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2011年10月18日

栗駒木材の大場さんのおはなしを聞いてきました

[c-森林をいかす家づくり--moriiki ]

先週のことになりますが、工学院大学で行われた木の建築塾で、栗駒木材の大場さんのお話を聞くことが出来ました。
千葉の斉藤造林さんとのお付き合いや木の研究会を通して、私も森と林業と木の家について考え実践しているわけですが、そのなかで栗駒木材さんの活動は聞き知っていました。しかし、聞き知っていることと実際にお話を聞くのは、全く別です。というわけで、東京で栗駒木材の大黒柱である大場さんのお話を聞けるとあってはせ参じたわけです。

大場さんのお話はとても面白かったというのが感想です。
でも、それでは、何が何だかわからないですね。というわけで、ちょっと掻い摘んで大場さんのお話をご紹介します。

栗駒木材さんはできるだけ天然乾燥に近い状態で木材を出荷したいと考えています。それは、重油を焚いて乾燥させる今までの木材乾燥は、やはりもったいない、であれば製材で出る木片を利用して、それを焚いて燻煙で乾燥させる方法が良い、ということで、燻煙乾燥をやっておられます。もちろん、燻煙では含水率を30%程度までしか下げられませんから、そのあとで2〜3ヶ月間の天然乾燥も合わせて行うということでした。
また、日本の林業は労働集約的で手間ひまをかけます。その人件費がバカにならないために日本の林業はビジネスとして成立し難くなっています。たとえば、植林してから数年は苗木の間でグングンと成長する雑草を刈り取ってあげないと木は成長不良になります。この下草刈りが大変な手間なのです。そこで栗駒木材さんは何を考えたかというと、牛を放牧して下草を食べさせるということを始めたんですね。それも、和牛はダメでジャジー牛がいいのだとか。でも、下草が増えると、牛も好きな草しか食べてくれないのでもう一つ工夫が必要だと言っていました。

それから、栗駒木材さんはペレットの生産でも有名です。栗駒木材さんのペレットは灯油よりも安いということでとても実用的。林業は森林資源を総合的に活用していかないとビジネスとして成立させることは難しいというのが現状です。山に生えている木を家で使える木材に加工するともともとの体積の20%くらいになってしまいます。残りの80%は製材して残った端っこやオガクズなんですね。これらも立派な森林資源ですから、これを活用しない手はない。それらを十分に活用できるのがペレット燃料なのです。ペレット燃料も十分に乾燥させる必要がありますから、ここでも重油を使うのは本末転倒です。栗駒木材さんではビニールハウスの中で自然に乾燥させる方法をとっていました。

高級な和室の需要が激減して、木目の美しい無垢の高級材の流通がほとんど無くなっている現代。林業という経済の一端を支えていたそうした高級材にたよる生き方ができなくなっている現代。総合的に森林資源を余すところなく活用するという方向に活路を見出そうとしている栗駒木材さんは、とってもパワフルな材木屋さんでした。

<補記>
講座の後半は、3.11の被災地にペレットストーブを届けたというお話でした。震災時は工場もストップしていましたから、自分のところでもペレット燃料は作れませんでした。そこで、全国のペレット生産者からペレット燃料が届けられたとのこと、ペレットストーブは新潟のメーカーが提供してくれたそうです。その行動力の素晴らしさに心から拍手を送っていた私でした。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2011年10月18日 14:25

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