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2004年11月22日

Y-chair

[建築--architecture ]

Y-chair

とても素敵な椅子です。
でも、デンマーク人はでかいのでしょうか??
僕の周囲(同世代の建築設計仲間)では、この椅子はとっても不評だったりします。

日本人の体格からして、座面は高いし大ぶりでお尻がぴたっとはまるような座り心地はまったくないのは確か。だから、日本人にはまったく不向きだ、なんて言う人もいます。
まあ、言われてみれば確かにその通りかな。こうして自分で買って毎日座ってみるとよりいっそう「その通りさ」がわかってきます。

でも、住宅雑誌などを見ると、食卓テーブルにこのY-chairがそろえてあるようなお宅を良く見かけますね。そして、その家の住人が、みな巨体をゆさぶってこの椅子で食事をしているとは思えないですね。
何だかしっくり来ないのに、有名な椅子だから座り心地が悪いなんてことはない、座り心地が悪いと感じるのは自分の座りかたが悪いから、なんて思い込もうとしているのでしょうか??
そんなバカな、ねえ。

そんなことを考えながら、毎日座っていて感じたことがあります。
この椅子には得体もしれないスケールの大きさがあるということ。
それは、すっぽりと人間を丸ごと包んでしまうようなスケールの大きさのことなのです。
これは、やっぱり一言で言ってしまうと「デザイン」ということなのだと思うのです。

こうなってくると、「デザイン」ってなに?ということになるんだけれども
「デザイン」ってなんなんだろう?

もののかたちを決めること。
もの、その素材、素材と素材の組み合わせ、そして寸法。
寸法は確かに客観的な基準。
客観的な基準を満たせば一定の水準のものが完成するというのが近代デザインの考え方。
でも、ものとしての魅力を失ったら、どんなにちゃんとした寸法のものでも人に使い続けられることはないでしょう。
そこが「デザイン」。
そして、「デザイン」というものの肝をなくしたものは、もうそれは生き残れないんだと思うんです。
そこには人がいる。これこそ「デザイン」の肝なんだと思うんです。

Y-chairには「デザインの肝」がある。
だから、こんなにも長く多くのひとに愛されている。
座面の高さがちょっと高くたって、そんなこと忘れちゃうくらいの魅力。

僕もデザイナーとして、肝に銘じて仕事に取り組まねばとがんばっております。
このブログに出てくるさまざまなこと。これらも「デザインの肝」への探求であったりするのです。
だから、僕にとってブログを続けることは、かなり重要なことなんですね。

デザイン!What's design? : ハンス・ウェグナー特集

投稿者 yasushi_furukawa : 2004年11月22日 16:17

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コメント

Y-Chair、我が家にも2つあります。それもリビングに(笑)。この椅子座り心地も好きですし、飽きの来ないデザインと素材感も好きです。木の素材感・紙を使った発想の豊かさ・軽いのに堅牢で丈夫な点も気に入っています。掃除で椅子をどかすのも楽で、それでいて経年変化も少ない。我が家の2台は共に中古で、ネットオークションの落札品ですが、格安で購入でき、とても満足しています。シンプルな中にもスッキリとしたデザインと実用性を兼ね備えている点が素敵だなあと思います。今度、子ども用の椅子にトリップトラップチェアをこれまた中古で購入しましたが、はたして子どもが気に入るかどうか…。

投稿者 H.Suzuki. : 2004年11月22日 21:19

「得体もしれないスケールの大きさがある」ってなんだかマティスに通じるような、、、
デザインの肝、私も肝に銘じます。

投稿者 some ori : 2004年11月22日 22:09

AKiさんとお話しする機会があって、Y-chairのことになった。
AKiさん:「(座面が高くてすわりにくい)そんなことはないと思うよ。」
fuRu:「いやいや、ハンペンチェアと比べるとということですよ。」
そんな会話。
ハンペンチェアについては
http://af-site.sub.jp/blog/archives/000174.html
ハンペンチェアの座面が低めになっているのは間違いない。
それを基準とするかどうか、ということだと思う。
Y-chairの座面は確かに欧米の椅子の中では低いほうかもしれない。

投稿者 fuRu : 2004年11月23日 20:59

Yチェアとハンペンチェア使ってますが、どちらも良いですよ。それぞれ違う良さがあります。でもトリップトラップチェはア重いくて邪魔です。良く足を引っ掛けて痛い目にあいました。

投稿者 matsu : 2004年12月18日 20:55

私もYチェアを愛用しています。
私には、高さ・大きさともゆったりとして、ちょうど良いと感じています。この位あると胡坐もかけるし・・・。
ただ、かみさんには高さが評判悪い。どうも座っていると前面のバーに腿が当たり痛いとか。
私の周りには、Yチェアの足を詰めて使っている人が沢山います。ズボンを直して穿くように考えたら良いのではないでしょうか。

投稿者 mukaegawa : 2004年12月30日 09:17

matsuさん こんにちは
僕も両方使っています。
使っていて思うのは、それぞれ個性的で、結構使う場面を選ぶ椅子だなと言うことです。

mukaegawaさん こんにちは
椅子の脚を詰めるというのは、割とよくやっている人がいるようですね。逆に、椅子の脚を足すという人はいるのかな?

投稿者 fuRu : 2004年12月31日 01:02

初めまして!スウェーデンで家具製作を学んでいます。
Yチェアのサイズですが、たくさんのコメントにあるように平均的な日本人には明らかに座面が高いと思います。脚の長さ(ひざ下)が違うというのもそうなのですが、たぶん奥行きも深すぎるのではないでしょうか。体格だけではなく、ヨーロッパの靴を履いたまま座る文化というのも、大きな差異になります。

ということで、脚を切りつめて椅子のプロポーションを崩すよりは、脚の下に台を置き、背中にクッションを入れると良いと思います。足載せ台が高すぎると今度は全体重がお尻に集中してしまうので太ももにも加重があるくらいがベストです。

初めてなのに長々と書いてしまい、申し訳ありません。ご参考にしていただければ幸いです。

投稿者 Ikuru : 2005年01月25日 03:25

Ikuruさん はじめまして
スウェーデン(!)からのコメントありがとうございます。
そうですよね。むこうの人は革靴をはいて椅子に座るんですよね。体形だけの問題ではない、そこには文化の違いがありますね。
僕も脚を詰めてプロポーションを崩すことはどうかと思っています。
低い足台+背もたれクッションは、あのYチェアのゆったり感にフィットしそうで快適そうです。良いアイデアですね。

投稿者 fuRu : 2005年01月25日 10:02