« 基本設計とは?--cucu_Houseの場合 | メイン | アジア1次予選突破 »

2004年10月13日

BOOKER LITTLE

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

TIME盤の「BOOKER LITTLE」とタイトルのついたこのアルバムは
僕にとって特別な「何か」であって
それは単なるJAZZというジャンルのレコードではないのかもしれない。

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」というジム・ジャームッシュの映画について
大島渚が「青春のある時期のその時にしか撮れないそういう映画」と評していた。
大島渚のこの言葉は、僕にこのアルバムを思い出させ
そして、僕は「ああ、音楽にもそういうことがあるんだろうなあ」と思った。

Booker Littleはトランペット奏者である。

1938年4月2日 テネシー州メンフィス生まれ
幼い時からクラシックの素養を身に付け
1955年シカゴに移り住むとともに急速にジャズに接近。
そこでソニー・ロリンズに見いだされ
クリフォード・ブラウンを交通事故で失ったマックス・ローチのグループに加わることになる。
その後の活動はさまざまなかたちでレコードとして記録されている。

ジョン・コルトレーンのアフリカブラス・セッション
(1961年5月、6月)への参加、
エリック・ドルフィとの双頭コンボでのファイブ・スポット・カフェでのライブ
(1961年7月)などが有名。

ただし、ファイブスポットでのライブの3ヶ月後の
1961年10月5日に、尿癖症のため急逝。23歳の若さだった。

さて、このアルバムのクレジットは 1960年4月13、15日。
Booker Littleのワンホーンカルテット。
レコードに針を落とした瞬間から
リトルのトランペットが響き渡る。
耳に刺激的なその響きを嫌う方もおられるが
僕にとっては、何にも変えられない「トーン」であり、
これこそが胸の中に潜む「何か」を表に連れ出す音色なのだ。
高校生の時に最初に手にしたこのレコードは僕を直撃した。

確かに、リトルの目指した世界は独自の調和をもった3ホーンのアンサンブルだったのかもしれない。
そして、そのアンサンブルは遺作となった4枚目のリーダー作「Booler Little and Friend」で魅力的に響いている。
それでも、僕にとって「Booker Little」が「Booker Little」たらんとしてそこに存在するのは
その音色以外の何ものでもないのだ。

キンモクセイが強く香る秋の雨空のもと
ふと、思い出したようにこのCDを手に取って聞いている。
そして、このレコードでベースを弾いているのが
スコット・ラファロであったことも、ゆっくりと思い出す。

スコット・ラファロはビル・エヴァンスとのトリオで有名。
BILL EVANS/The Complete Live at The Village Vanguard 1961
その他ではオーネット・コールマンとエリック・ドルフィが録音した
「Free Jazz」というレコードで、オーネット・コールマンのサイドで演奏している。
その彼も交通事故で25歳の若さで急逝した。
1961年7月6日。
リトルがなくなる3ヶ月前のことだった。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2004年10月13日 10:44

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/216

このリストは、次のエントリーを参照しています: BOOKER LITTLE:

» あの感覚 from some origin
「青春映画などを見たときに感じる、あの感覚。懐かしいような、切ないような、何かが [続きを読む]

トラックバック時刻: 2004年10月30日 20:22

» ブッカー・リトル from 茶碗屋ブログ
夭折の天才、といえば誰を思い出すだろう。 スコット・ラファロ、エリック・ドルフィー、クリフォード・ブラウン・・・・・ これらのすべてに関係して また本... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年12月21日 11:19

コメント

「あの感覚」を現役で感じられる年頃に亡くなってしまったアーティストたちのことを思うとき、ある種の羨望を覚えることがあります。ウワーっと燃えちゃったのかなと。
でも反対に、長い人生をかけてねばり強く到達していくのも、なかなかいいかなと。
Booker Littleのことは、知りませんでした。今度聞いてみよう!

投稿者 some ori : 2004年10月30日 20:35

このエントリーは
実は、some oriさんの「Sunday, September 19, 2004」にインスパイアされて書いていたりします。
それでTB。これ言っておかないと意味不明ですね。
BookerLittleはエントリーでもふれていますが
好みのはっきり分かれる人です。
一つ言えるのはジョアン・ジルベルトの世界ではないなあ。

投稿者 古川泰司 : 2004年10月30日 22:39

聴きました!
確かにジョアンの世界じゃないけど、すっごく好きです。仕事してるときのBGMはこっちの方が適してますね。 青春時代のキューンを思いおこしながら、没頭できます。仕事のノリと青春のノリはかぶるところがあるのだろうか???

投稿者 some ori : 2004年11月04日 22:20

some ori さん
気に入っていただけて光栄です。
空気の澄んだ秋の日差しを浴びて聴くのがおすすめ。

栄養をちゃんととってくださいね。
http://someori.cocolog-nifty.com/note/2004/11/post_1.html

投稿者 古川泰司 : 2004年11月05日 10:16

ほんとうにこのアルバムは素晴らしいとしか表現しようがありません。
初めて聴いてからもう十数年が経過していますが、あれから何度聴いても、ええ、聴くたびに、リトルの早すぎる死が惜しまれます。
トランペットのワンホーンのアルバムは非常に少なく、演奏し難いフォーマットなのかも知れないですが、このアルバムではそんなことを微塵も感じさせないサウンドが一気に響き渡ります。
リーモーガンのキャンディで聴かれるものでもなく、ジョニーコールズでも、アートファーマーの持っているものでもない、あるものを感じます。
彼はあらゆる感情をトランペットに託すことができたんじゃないか? とさえ思えるほど彼の表現力が発揮されたアルバムがこのBooker Littleなのかな? と。

投稿者 syo-hyo : 2005年07月28日 22:37

syo-hyoさんの記事も素敵ですね。
http://ameblo.jp/syo-hyo/entry-10003085594.html
このレコードは、完成されていないけれども
その完成されていないということが大いなる魅力になっているレコードだと思います。
共感してもらえる人がいてとてもうれしいです。

投稿者 fuRu : 2005年07月29日 09:58