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2005年10月21日

Keith Jarrett Solo #159

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

p.m. 7:00 Oct.20 at Tokyo Metoropolitan Art Space
僕はそこにいた。

ステージの上には一台のグランドピアノがあり
そこには今年還暦を迎えたキース・ジャレットがいる。
彼の十本の指は、鍵盤を縫うように動き回る。
ピアノはキースによって一つの共鳴装置となり
会場は、客席にいる僕らとともに振動し始める。
これが、キースの言う瞑想(Meditation)なのかもしれない。

こうやって演奏するのは、大変ハードな仕事だけれど、静かにしていることは、難しいことではないでしょう?皆さん、どうか Westernize (西洋化)しないでください。日本には昔から、瞑想(Meditation)という伝統があります。アメリカには伝統がありません。

入場するときにもらった今回のパンフレットに、ことさら注意を引くように黄色い紙を使った一枚の紙。そこには、数日前の東京公演で、一部の観客の立てる物音により、演奏を途中でやめてしまったキースのことが書かれていた。そして、その時、客席に向かって語ったキースの言葉。

ジャズでは、演奏中の演奏者対して、かけ声をかけることによって、会場とステージが一体となる。
しかし、キースが求めているのは、静かに聞くこと。静かに聞くことによってキースを含めた会場が一つの大きな耳となり、一つの音を聞き始めること。その音楽による一体感。
そのために、キースはピアノという楽器を変幻自在に操ってみせる。そこにあるのは、もはや一台のピアノではなく、宇宙の共鳴装置になっている。

その時、その場所は一つの祭典となり、僕らは熱に浮かれたカーニバルで踊るように、ひとつになる。
そんな音楽とそんな空間。
すばらしいステージだったと思う。

キースは現代のシャーマンか、あるいはトリックスターですね。

<蛇足>
今回のコンサートを聴いているときに思い浮かんでしまったCDを二枚。

新ウィーン楽派ピアノ作品集:高橋悠治
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The Harp of New Albion:Terry Riley
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Terry Rileyは、考えてみればいつものキースの延長線上にあるといえなくもない。
ちょっと意外だったのは新ウィーン学派。
キースの音楽は嫌いではないが、網羅的に聞いているわけでもないので、そういう傾向のことをやっていたこともあるのかもしれないけれども、僕としてはとても新鮮でした。

<問題の10月14日の公演についての jazzcd さんの記事です>
『Keith Jarrett Solo 2005』 コンサート ★★★★☆(BLOG.JAZZCD.JP)


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年10月21日 00:00

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» 【ライヴ】キース・ジャレット ソロ 2005.10.21 from Badlands 〜映画と芝居と音楽と〜
TITLE: 【ライヴ】キース・ジャレット ソロ 2005.10.21 URL: http://bonobono.cocolog-nifty.com/badlands/2005/10/__20051021_8692.html IP: 61.121.100.50 BLOG NAME: Badlands 〜映画と芝居と音楽と〜 DATE: 10/23/2005 01:47:11 AM [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年10月23日 01:47

» キース・ジャレットのコンサート from MIHOのティータイム
以前から楽しみにしていたキース・ジャレットのソロコンサートに行きました。現代最高峰のジャズピアニストとして知られるキース・ジャレットの素晴らしさについては、CD... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年10月23日 16:12

» Keith from ag's blog
iTunesを、シャッフル機能オンにして演奏してると,思わぬ選曲に驚かされることってよくありますよね. [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年04月06日 14:04

コメント

古川さん、こんにちは。BBQです。
20日のKJのコンサートには私たち夫婦も行きました。チケットを買ったのが遅かったからか3階席で、結構遠かったです。古川さんはどの辺りでしたか?

コンサートはアンコール3曲があまりに良くて帰る時には1stステージ、2ndステージの印象がちょっと薄れてしまうほどでした。私はアンコール1曲目が一番感動し、妻は2、3曲目が良かったそうです。

古川さんが書かれているパンフに入った黄色い紙、私たちも演奏が始まる前に読みました。物音を立てないようちょっと緊張しながら聴いていました。
2チャンネルの「キース・ジャレット KEITH JARRETT Part5 」を読むと初日の14日は酷かったみたいですね。携帯電話は何度も鳴る、曲が終わる余韻の微妙な響きを楽しむ時に鞄を落した大きな音がする・・・etc。

私も持病のハウスダストアレルギーによる?咳がちょうどひどくなっていたので、フィルター付のマスクを持参、使用したので一度も咳をすることなく、良い聴衆として協力できました。
観客と演奏者がノリノリで一体感を出すのもいいけれど、今回のキースのソロのように僅かなピアノの響きも聞き逃すまいと集中する一体感もいいですね。

誕生日からはちょっと日がたったけれども妻からの誕生プレゼントは素敵なステージでした。

投稿者 BBQ : 2005年10月21日 20:23

BBQさん こんにちわ
いらっしゃっていると思って、休憩時間に三階まで行ってみたのですがお会いできませんでしたね。
僕は、早いうちにチケットが買えたので、一階席の一番後ろでした。
たぶん、S席の中では一番良いところだったと思います。
ステージはアンコールが3曲あって、びっくりしましたね。
これは、体力的にも大変なことです。
そして、そのアンコールのすばらしかったこと。

途中の演奏では、ペダルを踏んで弦の残響を残しているのに
たぶん、感極まってのことだとは思いますが、フライングで拍手される方がいて、ちょと・・・でしたが
そうですか、14日はそれほどだったんですか。
それに比べたら、我々はとても優秀な観衆だったですよね。(笑)

ともかく、素敵な演奏でした。素敵な誕生日のプレゼントでしたね。

投稿者 fuRu : 2005年10月21日 21:36

fuRuさん、昨日はどうも。
アンコール1曲目はガーシュインの"I Loves You, Porgy"で、アルバム"The Melody At Night, With You"の1曲目に入っています。これはfuRuさんの好きなビル・エバンスもよく演奏してましたね。2,3曲目は不明。
"The Melody At Night, With You"はキースが病気から立ち直った最初の作品で妻のローズアンに捧げたものです。

書棚の奥から武満徹の対談集「すべての因襲から逃れるために」を探して、その引用を含めてエントリーを書くつもりです。

風邪がまだ抜けずにいるので、ここらでお暇します。

投稿者 iGa : 2005年10月21日 22:34

iGaさん
こちらこそどうも。
今回のこの公演を知ったのもiGaさんの記事からでした。
http://madconnection.uohp.com/mt/archives/000620.html
そして、行ってみようと思ったのもiGaさんの記事あってのこと。
iGaさんの記事がなかったらチケットも買っていなかったでしょうね。
不思議な感じがします。
で、いろいろな意味で刺激的な公演でした。素晴らしいステージだったのは言うまでもないことですが
アンコールの曲。
どうしても、"I Loves You, Porgy"に聞こえなかったんですよね。
どうしてだろう?

投稿者 fuRu : 2005年10月21日 23:17

こんにちは。
昨日はとても気持ちの良い時間を共有できた事が今でも嬉しいです。
前日に鯉沼ミュージックのサイトで注意書きを読み、少し緊張しながら高速バスで東京に向かいました。高速バスの中では"The Melody At Night, With You"もiPodで聞いていたので、アンコールの時には「キターーーー!」でした。(拍手したのは私ではありませんが・・・)
初めてキースジャレットのコンサートに行ったので勝手な感想ですが、少し緊張気味の観衆を何度か気遣うキースジャレットの優しさが印象的でした。そして即興演奏という緊張感のなかで聴いた美しいメロディと、自分の内部に広がる様々なイメージは3階席の1番後ろの1コ手前の列からでも十分に(か、どうかは分からないですけど)楽しめました。
興奮していたらしく、そのあとは西池で3軒はしごです。

自分のブログ、壊れて(壊して)しまって、エントリー出来なくなってしまいました。。しばらくお暇します。

投稿者 nOz : 2005年10月22日 00:36

古川さん
3階までお越しいただきていたとは、、、ありがとうございます。そうとは知らずロビーで おむずび をほおばっておりました。

1階とは羨ましいですね。私のところは同じS席なのに、ここがS席ならどこがA席なの?っていうようなところでした。

今、コンサートからまる1日たちましたが、まだ余韻を楽しんでます。

キース・ジャレットのソロは思い入れ深いものがあり、「ケルン・コンサート」は今でも持っているCDのうちお気に入りBEST3に入ります。ケルンコンサートが断トツのお気に入りだった社会人2年目の時に10万円程度(当時は大金だった)のスピーカーを買いに行ったのに、同CDで試聴したら、別世界もののすばらしい音色を聴かせてくれた50万円もしたスピーカーを衝動買いしてしまったことを思い出します。

(店頭で2時間近く悩んだあげく、ボーナス2回払いで決めた時がある意味人生で一番の衝動買いだったかも。スピーカー名:ダイアトーン2000Z)

そのスピーカーは狭い今の家には置けず、実家で埃をかぶっておりますが、新居ができたあかつきには、真っ先にケルンをかけてみたいと思ってます。

iGaさん
横レスになりますが、アンコールの1曲目の解説ありがとうございます。ネットでは「I Loves You, Porgy」と書いてあるのを見かけましたが、決してジャズに詳しくない私には???でした。
ガーシュイン、アルバム"The Melody At Night, With You"、ビル・エバンス、それぞれにどんな演奏をしているのか聴き比べてみる楽しみができました。

それでは

投稿者 BBQ : 2005年10月22日 00:49

nOzさんのお姿も探したのですが、お会いできませんでしたね。
お会いできることを楽しみにしていたのに残念。

キースの優しさを僕も感じました。
アンコールの二曲目で
ピアノに向かって「かかってこい!(come on!)」なんて言っている茶目っ気も彼の魅力ですね。

そうそう、殻々ブログ、アクセスできませんね。さみしいですねえ。
早く復活されることを待っております。

投稿者 fuRu : 2005年10月22日 00:51

BBQさん
完成した暁には、ぜひ、ケルンをかけましょう。
リビングはコンサートホールのように勾配天井になっていますが
すぐ脇の吹き抜けがどう影響するか心配です。
うまく響いてくれると良いのですが。
なんだか、一人でわくわくしてきました。

投稿者 fuRu : 2005年10月22日 00:55