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2005年05月24日

In C---Terry Riley

[音楽--music ]

In C---Terry Riley
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1964年作曲のミニマルミュージックの古典。
テリーライリーはミニマルミュージックの巨匠。
ミニマルミュージックとは同じフレーズの繰り返しによる音楽。

ここでは、いくつかのフレーズが作曲者により与えられてるのだが、
そのフレーズを演奏する楽器の指定がないことに始まり、
誰がどのフレーズを何回くりかえして演奏するか、それらがすべて演奏者の判断にゆだねられている。
だから、この曲は演奏されるたびに違う姿で現れる。
そして、作曲者によって用意されたフレーズは
とても簡単なもので、誰にでも演奏出来るのだ。

作曲者は完全な楽譜によって、曲を作品として発表する。
とくに、楽譜により著作権が守られるようになってからは楽譜は重要になった。
しかし、それも西洋の限られた世界での話。

音楽は楽譜のためにあるのではない。
音楽は、それを演奏して楽しむ人々のためにある。

テリー・ライリーのこの曲を聴くたびに思うのは
そこでいっしょに混じって演奏したら、どんなに愉しいだろう、ということだ。
ここには、音楽を演奏する愉しみ、そのための音楽がある。

「ううあ」ことUAが出演していた
NHKの「ドレミノテレビ」を観ていて面白かったのは
そこでは、まずは音を出す楽しみが紹介されていたからだ。
楽器を演奏する技術、唄を歌う技術についてふれるまえに
まずは、自ら音を出すという愉しみこそが、音楽を僕らの手元に引き戻す大きな力であることを
この番組は子どもたちに教えようとしていた。

テリー・ライリーが考えていたことも同じなのではないだろうか。

マイルスは名作「カインド・オブ・ブルー」をつくった。
でも、作曲したわけではない。彼は、仲間と「カインド・オブ・ブルー」を演奏したのだ。
でも、マイルスと違うのは、テリーが用意した音楽が誰にでも演奏出来るという事なのだ。

建築の仕事をオーケストラに喩えて言われる事がある。
設計者は作曲家、作曲家の書いた譜面が図面。
楽器の演奏者は職人さん。そして指揮者は現場監督。

確かに、音楽の世界でも
サイモン・ラトルのベートーベンなどを聴くと
ベートーベンやラトル、そしてウイーンフィルの素晴らしさを感じる。

初台で行われている谷口吉生の展覧会を観れば
建築の世界でも確かに共通するものがあると納得出来る。

しかし、僕が求めている場所は、そこからちょっとずれている。

「In C」で聴く事の出来る音楽は
ひとりの作曲者が作る作品ではなく
参加者がみんなで作る作品であり、
作曲者の個人的な著作権のようなものとは無縁な場所なのである。

そして、建築や家づくりについても
僕は同様の場所を求めているのだ。

○僕の持っているもう1枚の「In C」


↑「In C」 with the Shanghai Film Orchestra

他にも何枚かCDになっている。

Terry Riley Official Site

<追記 2005.10.20.>
2005年11月来日についてなど
A Rainbow In Curved Air---Terry Riley

<追記 2005.11.17>
コンサートとトークセッションに行ってきました。
○「賢者の手---テリー・ライリーのピアノ」(11月15日)
○「ビート経文--テリー・ライリーとビート詩人たち」(11月16日)
テリー・ライリー 最終日はトークセッションでした (11月17日)

投稿者 yasushi_furukawa : 2005年05月24日 09:48

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コメント

おや、まあ、その二つとも持ってますが、上海バージョンの「InC」はタイトル曲の「InC」よりもテリー・ライリーの作品でない「Zen of Water」の方が良いですね。どうも「InC」の演奏者が自律的に演奏するという手法が中華人民共和国の音楽家に馴染めないように思えました。(現在はどうなっているのか分かりませんが、、)

投稿者 iGa : 2005年05月24日 11:24

iGaさん こんにちは
上海バージョンは偶然に中古レコード屋さんで見つけたものでした。
その成り立ちはよくわかりませんね。
たしか、テリーライリーのピアノ曲集である「The Harp of New Albion」が同じレーベルだった記憶があります。
iGaさんがおっしゃるように、およそ「In C」のコンセプトが中国的ではないので
この録音にびっくりした憶えがあります。
さて、今の中国だとどんな演奏になるんでしょうか?
そういう聴き方も出来るかなと思いました。

投稿者 fuRu : 2005年05月24日 11:57

テリー・ライリーが自由学園・明日館でコンサートをするらしい。
http://yamaonosuke.blogzine.jp/honke/2005/09/post_30f7.html

投稿者 iGa : 2005年09月03日 14:25

iGaさん
すばらしい情報をありがとうございます。
これは三日間とも行かなくては!

投稿者 fuRu : 2005年09月03日 21:05

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