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2011年01月10日

「ノルウェイの森」サウンドトラック---CAN、Jonny Greenwood

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ,音楽--music ]

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「ノルウェイの森」サウンドトラック
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映画を観終えて、一番印象的だったのはそこで鳴っている音楽でした。あるいは、響いている音、といったほうが正確かもしれません。

小説「ノルウェイの森」の冒頭は主人公の幻聴です。頭蓋骨の内部を内側から叩きつけるように響き渡らせる音が描かれていました。ですから、小説「ノルウェイの森」では音が大切な要素です。(村上春樹の小説はどれも音が大切です。)しかし、映画では冒頭のその場面はカットされ、それに対する否定的な意見もブログなどで書かれている方も少なくない。私もそういう目でこの映画を見ていたのですが、直子を失った直後の海岸のシーンで響き渡る音を耳にし、そうか監督は映画という手法でちゃんと小説に響いていた「音」を表現しているのだと納得したのでした。

実は、「ノルウェイの森」が映画化されるときに一番私の目を引いたのは、音楽をJonathan Richard Gordon Greenwoodが手がけるているということでした。

ロックやポップスという範疇で語りきれない音楽ユニットRadioheadは、リーダーのThomas Edward Yorkeのカリスマ性もさることながらメンバーの音楽性が絡み合いが、とくにこのGreenwoodの作り上げる音が中心となり世界に響いているのだと思います。それゆえ、いかなるジャンルとも無関係であり得る存在になっているのだと。そして、彼がこの映画の音楽を手がけるというのは、小説が持つ音と響きを私たちの目の前に出現させてくれるという、大きな期待というよりもある種当然の帰結という感じで、私の前に現れたのです。

実際に映画で響いている音は小説の持つ、切なさ、悲しさ、冷酷さをそのまま響かせていると思えるもので、濃密な映像表現と相まって、まれに見る映像空間をつくりだしていると感じたのでした。

とかく、小説が有名であり、その世界を大切に思うひとが多いために、この映画は否定的に語られてしまうことになっていますが、サントラと合わせて鑑賞することで、より奥行の深い世界を感じることが出来るのではないかと思いました。

<蛇足>
映画「ノルウェイの森」は、ある時代の日本映画へのオマージュだと思います。音楽もATG映画っぽいというか武満徹をも連想させるところがあって、とても興味深いものがあります。


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投稿者 furukawa_yasushi : 2011年01月10日 11:30

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コメント

あの、CANの曲も使われているんですか?何だろう?

投稿者 スナフキン : 2011年01月10日 20:34

スナフキンさま
「ノルウェイの森」とCANは全然つながらないですよね。
でも、映画「ノルウェイの森」とCANは分かちがたくつながっています。
面白いところです。

投稿者 fuRu : 2011年01月11日 11:07