« ヘクソカズラ | メイン | 工作迷路(BlogPet) »

2006年09月02日

UA 日比谷野音 2006

[音楽--music ]

いやああ、よかったですよ。
今、帰ってきました。
もう、ほんと、ただただ、しびれちゃいました。
立ち見席だったから、足もしびれちゃったんですけれどもね。

UAって、ほんと、すごいですよ。

UAを中心として渦巻く、野音のステージから会場全体を包むようなサウンドとグルーブは
唄というのは、大地から響いてくるものなんだって、素直に感じさせてくれました。

さて、
今回の野音は、「Breathe」でコラボレーションしている内橋和久でした。
おなじみの曲が、まるで違うアレンジで演奏されたんですが
そのアレンジの秀逸なこと。

内橋和久、すごい!

変な話ですが、UAは、アカペラが苦手なのではないかと思っています。
伴奏なしのところで、時々、音をはずしがちになる気がします。
ところが、周りから、きっかけに鳴る音が響くと
その音を自分の周りに並べて、そこに自分の声を吹き込み、大きなうねりを作りだすんです。

しかし、それは、UAがカラオケがないと歌えないというような陳腐な意味ではありません。
いわゆるカラオケ(単なる伴奏)のようなものだったとしたら、UAは唄えないのではないかとも思います。

僕は、音楽の原初的なかたちというものを時々考えます。

ある人が声を出す。
ある高さの、ある長さの音です。大きくなったり、小さくなったり、高くなったり、低くなったり、変化があるかもしれません。
その音を聞いて、他の誰かが声を出します。そのふたりの声を聞いて、さらに誰かが音を出します。

ある人にとって、まわりには複数の音が鳴っています。それに対して、自分の音を位置づけます。その位置が、また他の人の音の位置と関係を持って、別の誰かのまわりの音になります。そして、その別の誰かの音が、また別の誰かのまわりの音になる。そうして、人と人は音と音でつながってゆく。

この段階では、音階も和声もないでしょう。でも、音と音による人と人とのつながりは、確実にあるのです。そのつながりを感じることなしには音楽というものは存在しないのだと僕は思っています。

UAは「ううあ」としてテレビの教育番組で、このことを伝える伝道師の役目をしていました。

UAの唄が、僕にとって魅力的なのは、そこに人と人とのつながりを成立させる音のあり方が、ちゃんとあるからだと思います。

そして、内橋和久の編曲が秀逸なのは、そうした音のあり方に対して、内橋が実に素直に音を選んでいるからでしょう。
内橋和久によってちりばめられた音のかけらをUAが身にまとったときに、そこに濃密な空間が生まれるのです。
UAにとって唄うために必要な音とは、単なる伴奏ではないことは明白です。舞台の上で、各演奏者とともに、一つの空間に化身することが、UAにとって唄うことだからです。

今回のステージは、ほんとうに、すばらしかった。
それは、UAによって、僕らオーディエンスが、音楽の原初的な喜びを見いだしたからに他ならないのです。

<蛇足>
今回の野音は、この夏のツアーである「UAx菊地成孔」ではありませんでした。
cure jazz」からは、一曲も演奏されませんでした。
メンバーは、おなじみの人もいますが、今年のコンサートでは、これまで、少なくともこのメンバーでステージに上がったことはないと思います。
昨年のUAのツアーは観ていないのですが、音楽監督は内橋和久がやっていましたから
昨年のステージを、そのままやっていた可能性もあります。
逆に言えば、完成度は、えらく高かったということなのですが
毎年恒例の野音は、ツアーの締めくくりとしてあったと思うのですが、今回はちょっと違うようです。
なぜそうなったのか?
それはわかりませんが、菊地成孔が忙しすぎただけかもしれませんし、それについては、いづれあきらかになることでしょう。

一昨年の渋谷公会堂(2004年6月30日)

投稿者 yasushi_furukawa : 2006年09月02日 23:30

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://af-site.sub.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/997

コメント

お帰りなさい。
待ってました~。
雨降らなくて良かったですね。
やっぱり生の音を聴いてそこに居るっていうのがたまらなくいいですよね。
たとえ、蚊にさされようとも、大丈夫でしたか?
いいなぁ。いつもコンサートに行くと思うのですが、身体に音の振動が刻まれて
その心地よさに身をゆだねる瞬間がたまりません。

投稿者 reirei : 2006年09月02日 23:55

reireiさん
いやああああああ、本文に書いたように
ほんとうによかったです。
今度ご一緒しましょう。
さて、蚊にはずいぶんと刺されてしまいました。
アドバイスを聞いて虫除けスプレーを持ってゆくべきでした。
それにしても、今回の野音は
鈴虫の大合唱に包まれて、何とも言えない雰囲気の中でステージが進められてゆきました。
見上げれば、ステージの屋根の向こうにお月様。
秋ですねえ。

投稿者 fuRu : 2006年09月03日 01:10

秋の空の下、鈴虫と蚊に囲まれて、音に包まれる。
最高ですね。
音と音が人と人に共鳴してそれがまた重なって伝わってつながるって
fuRuさんの表現もまた素敵なこと。
蚊のいない冬もいいかもしれませんね。

是非とも次の機会には、ご一緒に、などと書くと、
このブログを見ている全世界1万人の(もっと?)fuRuさんファンに
何を言われることでしょう。
このあたりで座布団4枚目を狙っているのがそこはかとなく
わかっちゃいました?

投稿者 reirei : 2006年09月04日 11:28

reireiさん
ぜひに、今度、ご一緒しましょう。
でも、UAは毎年やってるけれど、この野音でおしまいなんですよね。

ちなみに、とくせい座布団は、ちょっと難しいですね。
また、次回以降、挑戦してみて下さい、って、何に挑戦するんだーー。

投稿者 fuRu : 2006年09月04日 12:09

コメントしてください




保存しますか?