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2005年06月27日

Aja---STEELY DAN

[音楽--music ]

Aja---STEELY DAN
1977年発表
amazon

昨年、iPodを購入してからというもの
音楽を聴く機会がすごく増えた。
とくに
iPod+シュアの組み合わせ
雑音の多い満員電車でも音楽をそれなりに聴く事が出来るようになって
当初の予想を遥かに超えて、僕の音楽生活は活気づいた。
スティーリ・ダンは高校生の時から好きだった。
特にこの「エイジャ」、発売ほやほや、LPで何度も何度も繰り返し聴いた。
CDはボックスセットで買って置いてあった。(大人買い!)
でも、なかなか聴く機会もなかったのが、iPodで(iTuneに取り込んで)最近聴くようになった。
それにしても、いやあ、このレコードの良さは、ほんと、変わらないですね。

なかでも、僕が好きなのは「ディーコン・ブルー」なんだけれども
「一晩中、スコッチウイスキー飲んでる・・」と言う歌詞が耳から離れない。

なんて思いながら、ボックスセットのブックレットを見ていて、ひとりのメンバーに目が留まった。
Victor Feldman。
マイルスのレコードにも参加している人物。
(ちなみにこの人、「ソード・フィッシュ・トロンボーン」とか
Tom Waitsのレコードにも参加している。)
一曲目の「ブラック・カウ」のソロもヴィクター君とのこと。
フェンダー・ローズ、良い音している。
うーん、センスあるよね。良いよね。
と言うわけで、マイルスのレコードも聴き直す。
そういう時にも、iPodならばいつでもたいていのアルバムは携帯できているから早い早い。
こういう点でもiPodを代表とする、大容量HDのプレイヤーの登場で、音楽の聴き方ががらりと変わりましたね。

ジャズが60年代に変質していって
70年代にどうなったかって言うと、こうなったのかなというののひとつが
このスティーリー・ダン。
でも、スティーリー・ダンって、ジャズなの????
少なくとも、高校生の時は1950年代のロリンズなどのジャズも聴いていたが
スティーリー・ダンをジャズだと思っては聴いていなかった。

ここで聴かれるのは、スタジオワークで丹精に構築された音の世界。
ベースとドラムスの音を録って、その上に音を慎重にかさねてゆく。
そこにはアドリブプレイはあるが、インタープレイはない。
ラリー・カールトンはカラオケをバックにアドリブを演奏。何テイクも録っていたりする。
ここにあるのは、ジャズがある日そうだったような、いっせいのせいので始める、そういう音楽ではない。
複数の演奏者がお互いの音を聞きながら演奏をするという、集団即興の要素は消失している。
だから、そういう意味では、これはすでにジャズではない、のかもしれない。

でも、まあ、そもそも、音楽のジャンルわけ、
それがジャズかどうかなんて、どうでもよくなっちゃったのでしょうね、その時代。
質の高いポップミュージックがジャズの最良の物をどんどん取り込んでいった。
これがフュージョンと呼ばれる現象でしょうか。(ちょっと違うか。)
でも、スティーリー・ダンはフュージョンではない、と思う。
いやいや、スティーリ・ダンを聴いているときに
僕は音楽を聴いているだけであって、ジャズを聴いているとかポップスを聴いているとか、それがフュージョンであるとか、
そういうことはまったく考えていないということ。
ジャンルなんて気にならない音楽。

MADCONECTIONのiGaさんが
ジャズは燃え尽きたか」というユリイカの特集について書いていた。
1976年、1977年のユリイカの特集。
スティーリー・ダンを聴きながら思ったのは
ジャズは燃え尽きたのではなくて、消失した。
これがジャズであると、はっきりとわかる形は消してしまった、のではと。
(ジャズはもともと死んでいたというiGaさんの説も刺激的!)

一方、ビル・エヴァンスは1977年の8月に
You Must Belive In Spring」を録音。
せいのでもって始めるジャズの美学がここにはちゃんと残っている。
でも、これは、すでに生きた化石だったのかもしれない。

それにしても、今の時代は集団即興を求めているのだろうか?


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年06月27日 10:50

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» Steely Dan / Aja (彩) [1977] from AORフリーク!
70年代Jazz/Fusion風味AORアルバムの代表作。 Steely Dan / Aja (彩) [1977] 1.Black Cow 2.Aja 3.D... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年09月16日 22:53

コメント

こんにちは、お邪魔します。
なぜか僕もこのCD持っています、和風のような女性の印象的なジャケットとスティーリー・ダンというなにか歯切れの良い名前に一目惚れして店頭で思わず買ってしましました。
ジャズなんですか、のりの良いサウンドでお気に入りの一枚でよく聴いていましたが(アジャ)。

投稿者 カーク : 2005年06月27日 21:21

カークさん こんにちは
スティーリ・ダンをジャズだという人はいませんね。
でも、彼らのレコーディングに多くのジャズメンが参加していることは
彼らのレコードの完成度を考えると、とても重要です。
彼らの音楽の質をスバ抜けて高いものにした功績は
すぐれたテクニックをもつ西海岸のジャズメン達あってのことなんですよね。

投稿者 fuRu : 2005年06月28日 09:31

スティーリー・ダンの「彩」。私も大好きな1枚です。同じく高校生の頃、輸入盤で何度も聴きました(あの頃は日本盤のLPが2500円するところ、輸入盤は1880円で買えたので)。このジャケットの表紙を飾っているのが日本人としてスーパーモデルの魁となった山口小夜子さんでした。最初はそれが気に入って買った盤でしたが、音にも魅せられました。この頃は、他に先日私の大好きな歌手・杏里と婚約したリー・リトナー&ジェントルソウツのキャプテン・フィンガーズとか、CSN(Yは既に脱退していた)とか、アルバムのロングセラーを記録したフリートウッドマックなどを好んで聴いていました。懐かしい時代です。

投稿者 H.Suzuki. : 2005年06月29日 22:59

Suzuki さん こんばんは
Ajaというのは アジアのこと。彼らの東洋趣味で創られた、というのはよく聞く話です。
邦題の「彩」というのも良いですよね。
で、ジャケットも秀逸。世界LPレコードジャケット選手権なんて言うのがあったら、絶対に上位にランクインしますよね。
で、スティーリー・ダンのサウンドは、
純正のウエストコーストではない。ちょっと、やっぱりくすんだニューヨークの香りがする。
ニューヨークの香りがどういうものだかわかりませんが、そんな風にも言われています。
ただの暖かくてノン気なサウンドではない、というのが彼らのチャームポイントなんですよね。

投稿者 fuRu : 2005年06月30日 00:30

はじめまして、tahaと申します。

私も好きです、このお二人さん。
ガウチョもいいですし、最近のアルバムも聞きやすかったです。
でも最高なのは、やはりこのアルバム"Aja"ですね。
TBさせていただきました。

投稿者 taha : 2005年09月16日 22:58

tahaさん
僕も、このお二人さんの作品のなかでは、この一枚が一番好きです。
僕はAORというのは、嫌いではないのですが
全く得意分野ではないので
このAjaの記事もマイルスに絡めて書かせてもらっている感じです。
TBいただいたtahaさんの記事は
tahaさんのAORへの思いが伝わってくる良い記事ですね。

投稿者 fuRu : 2005年09月17日 16:57