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2006年12月21日

マニアの受難

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ,音楽--music ]

moonriders-mania-no.jpg

ムーンライダースを聞き始めたのはいつの頃だろう。
でも、高校時代、鈴木慶一プロデュースのパンタの「マラッカ」が私のバイブルだったから、ずいぶん昔から影響を受けていたのはたしかなようだ。
そのムーンライダース、結成30周年ということで
なんとドキュメンタリー映画が出来た。
それが「マニアの受難」。
テアトル新宿でレイトショウとのことで行ってきた。

ローリングストーンズが43年であるから、それには及ばないが
及ばないのは時間だけではなくて、ストーンズにはスマッシュヒットの数々があるが
ライダースにはそれがない。
ストーンズは誰でも知っているヒット曲を一通りやれば2時間、3時間のステージとなるのだから、それは凄いことである。それゆえ、いまだに現役で世界を渡り歩いている。
U2だって、ヒット曲の連続だし、観客動員数では得体の知れない数字となる。
ストーンズもU2も巨大なのである。

ライダースにはヒット曲がない。
チャートの上位に上りつめたスマッシュヒットがない。
あれだけ名曲があるのにヒット曲がないのだ。
映画の中では、どうしてもヒット曲をつくりたいと苦心したプロデューサーの話が興味深い。
メンバーは、ヒットに対して複雑な感情を持っている。

ヒット曲を生み出すのは、楽曲が良いというのと同じようにプロデュースが良くなければいけない。良い曲があっても人に訴える場所とチャンス(手段)がなければ、埋もれていってしまう。

ライダースは、基本的にセルフプロデュース、自分たち自身で自分たちをプロデュースする。
とすれば、ライダースにはプロデュース能力がないのだろうか?
まさか。

彼らの作り上げてきた作品群を聞けば、彼らがいかに作品を仕上げる能力に長けた集団であるかがよくわかる。そして、その作品群は、確実に聞き手の心をとらえて放さない。これは確かなプロデュース能力である。その能力は他のアーティストの作品に対してもいかんなく発揮されてきた。これからも発揮されるに違いない。

彼らはとても「マニアック」であると言われるし、そのフアンも「マニアック」であると言われる。映画のタイトルが「マニアの受難」というのは、そういうことだ。でも彼らの言葉を聞いていると、やはり、自分たちが考える良いもの、面白いもの、納得の行くものをつくりたいという気持ちで今までやってきたのだなということがよくわかる。そして、その時代時代で、これだけ密度の高いものを作り続けてきた。その妥協のなさがある種の凄みとなってとてつもない説得力を持っているのが、ライダースの世界だ。

たとえば、スマッシュヒットがあったとしても、人の心に残らないのでは何にもならないのではないか。ヒットしなくとも確実に人の心に残るものを作り続けること。そういうプロデュースを彼らは意識的にしているのではないだろうか。
彼らのあり方に、深く共感するのである。

今年の4月に日比谷の野音で行われた30周年コンサートの映像を見ながら、数々の名曲を口ずさみながら熱い思いに包まれて映画館をあとにした。

私にとってのライダースは、この「アニマル・インデックス」、そして「アマチュア・アカデミー」です。「最後の晩餐」以降はあんまり聞いていないのが正直なところ。
今度じっくり聞いてみたいと思っています。

「マニアの受難」公式HP
ムーンライダース公式HP

映画は新宿でしか今のところやっていないですね。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2006年12月21日 10:00

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サッカー選手でさ中田と三浦っているじゃん?? やってる時か [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年12月21日 19:37

コメント

ムーンライダース、今でも時々聞いてます。
「最後の晩餐」聞いた時には、ちょっとウルっときてしまったぐらい。
いっしょに歳をとってきた道のりが少しだけ切なくさせるアルバムでした。
ムーンライダースのドキュメンタリー映画だなんて、
まさしくマニアックですね!新宿でしかやらないのか〜〜。
お正月に行くしかないですね。これは。

投稿者 こーこ : 2006年12月22日 00:02

こーこさん
こんにちは。
ディープな感じですね。
私は、「ドント・トラスト・オーバー・サーティ」を出して活動休止していた頃にライダースの世界にのめり込んだ程度です。
もちろん、以前から知っていましたがフアンと自称できるのはその頃からですね。
それにしても、新宿でしかやらないというのは困ったものですよね。
近いうちにDVDになるだろうけれども、4000円以上するだろうしレンタル屋さんに並ぶとも思えないから、考え物です。
でも、この映画、見て損はないと思います。お勧めです。特に昔からのフアンの方には、です。
ちなみにレイトショウは9時20分からで終演は11時20分頃になります。

投稿者 fuRu : 2006年12月22日 09:21