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2007年03月06日

「不都合な真実」

[報道・TV--topics ,映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

映画「不都合な真実」を観ました。
前アメリカ副大統領のアル・ゴア氏が全世界を駆けめぐり行ってる講演会の記録映像を軸として、世界で起こっている地球温暖化が原因と思われる異常事態の映像が挿入されており、この映画を観ることでゴア氏の講演会を聞きにいったようなつくりになっています。
映画館は、アカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞した影響でしょうか、テレビで安倍首相が観たということが話題になっていたからでしょうか、大勢の方が詰めかけ満員御礼の状態でした。

地球温暖化がほんとうに起こっているかどうか?
その原因はなにか?
それは、大気中の二酸化炭素濃度が高くなったためなのか?

様々な意見があります。何冊も本を読みました。
その上で、私が考えるのは、地球規模で起こっている異常事態と温暖化の紛れもない事実と
それを引き起こしているのが、近代産業革命以降の人間の活動によるものだろうということです。

ただし、

二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量があがる
 ↓
地球温暖化、地球環境のバランスが崩れる
 ↓
地球崩壊の危機

という紋切り型のシナリオは、いささか戯曲的すぎるような気がしますね。
危機意識を煽りすぎている感じがします。

たとえば、私としては

地球規模で、異常気象と呼ばれる現象が起きている。
 ↓
その原因は、地球環境のバランスが崩れはじめたことではないのか。
 ↓
その一つの表れが地球温暖化と呼ばれる現象だ。
 ↓
地球温暖化の原因は、大気中の二酸化炭素濃度があがったためではないのか。
 ↓
では、どうしたらいいのか。

というシナリオの方が、しっくりくるのですね。

それはともかく、

産業革命によって、人間は化石エネルギーを産業に使うことを発見し
技術は進歩し、人はより大きなものを動かすことに成功し、空を飛び、地を走りまわるようになりました。
産業革命前と後では世界は一変し、エネルギー消費量は急増しました。

しかし、ちょっと考えてみれば分かることですが、そこで使っていたエネルギーは
長い長い年月をかけて、植物が太陽光線のエネルギーを少しずつ蓄えてきたものです。
とすれば、蓄積にかかった時間からすれば、消費に要する時間があまりにも短いのが気になります。
そして、その結果、長時間かけて蓄えられてきた二酸化炭素も一気に大気に放出されることになるわけです。

実は、大気中で濃度を増した二酸化炭素がどのような影響を地球環境に与えるのかその実態ははっきりとしたことは分かっていないのですが、大きな影響を与えるだろうことは容易に推測できます。大気中の二酸化炭素は濃度が上がると海洋中にも溶け込みます。その影響も計り知れません。いやいや、溶け込んだ二酸化炭素で海のバランスが崩れることが一番怖いことなのではないでしょうか。

こうした危機意識が、単なるブームで過ぎていってはいけないのです。

我々は、どうしたらいいのか?何をしたらいいのでしょうか?

省エネルギーへの意識を持つこと。
化石エネルギーになるべく頼らない生活への意識を持つこと。

私の職業でもある、建築行為、建設行為は多大なエネルギーを使います。
どうしたらエネルギーの消費量を減らして建築・建設ができるのでしょうか。

インガルス家のお父さん(大草原の小さな家)は自力で(マンパワーで)自分たちの家をつくりました。
「北の国から」の五郎さんも、自分の家をマンパワーでつくりました。
人間の力(マンパワー)というものは、もっともエネルギー効率が高いのだそうです。
とすれば、機械に頼らずに人力でつくる家づくりというのが、もっともエネルギー効率が高く、省エネルギーの意識が高いということになるわけです。しかし、それは、今の世の中ではあまりにも現実的ではないでしょう。だけれども、人頼み、機械頼みから、少しでも脱却してゆくことが大切なのだと思う、これは意識の持ち方ですね。

また、日本の林業が衰退している原因のひとつが、機械化の遅れであると言われます。複雑に入りくんだ日本の山は、急峻でもあり、山手入れの作業も切り出しも大変です。効率的な機械化が出来ないと林業自体が成り立たない状態のところが多いのです。しかし、鳥取で出会った古老の樵たちの人力による作業は我々に技術とは何かと言うことを深く考えさせてくれます。
もし、林業が機械を使わないと不可能である時代ならば、いかにエネルギー消費量を抑えた機械化が出来るかにかかっているのだと思います。

建築の設計と言うことから言えば、まずは、窓の開け方の工夫で通風や採光を室内にうまく取り入れることで、部屋を暖めたり涼しくしたり、明るくしたりということを心がけることが大切です。
さらには、太陽熱を有効に利用して冬場は暖房のために使ったり、夏場はヒートチムニー効果で廃熱をしたりして、化石エネルギーに頼らず室内の温熱環境を快適にする工夫を取り入れることが大切です。

同じく建築・建設でも、木材を使ったものをつくることが大切です。木材は天然の二酸化炭素の貯蔵庫なのです。木材を使っただけ、その分を山に植えてあげれば、二酸化炭素の収支のバランスをとることが可能です。こんな材料は他にはありません。

いま、私は、私に何が出来るかを問いかけてみました。
みなさんはどうでしょうか。
みなさん、一人ひとりに出来ることがきっとあると思います。
一人ひとりが自分自身に問いかけてみることが大切なのです。

不都合な真実(aki's STOCKTAKING)
映画・不都合な真実(MADCONNECTION)
書籍版・不都合な真実(MADCONNECTION)
「不都合な真実」と「恐怖の存在」(MyPlace)
追:不都合な真実(どないですか)
不都合な真実(fumi'sのぼちぼちやろか)
池田清彦『環境問題のウソ』(esaka takeru's memo)

「不都合な真実」を観られた、あるいは書籍版を読まれたかたには
ロンボルグの「環境危機をあおってはいけない」を同時に読まれることをおすすめします。
映画に出てきた図表はどれも有名なものなんだそうですが、それがどのようなデータに基づいてつくられたのかが解説されています。
ちなみに、この本、本国アメリカでは1998年に出版されました。


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2007年03月06日 13:15

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コメント

ボクが今住んでいる家は、自分で建てたハンドメイドの家です。
人力が、もっともエネルギー効率がいいとは知りませんでした。
情報感謝。
ボクの仕事は陶器制作ですが、蹴ロクロをけって作り、薪で焼成
しています。電気を使わず、木(主に廃材)を燃やして、陶器を
作っています。今の主流は、電動ロクロで成形&ガスor電気窯で
ですから、ボクの仕事はメインストリームではありません。
でも、ボクのような人がいないわけではありません。去年も、
「蹴ロクロで作って、登り窯で焼きたい」という若者に出会いました。
経済優先でない考えをもつ人はこれからも出てくると思います。
伝統的な技術は環境に優しいんじゃないでしょうか。

投稿者 tak : 2007年03月06日 18:03

こういう映画が話題になるということだけでもいいことですね。
本当に待ったなしのようですね。

投稿者 中里 : 2007年03月06日 19:29

takさま
ハンドメイドの家なんですか?
それはぜひ一度、遊びにうかがいたいです。
足でけって回すロクロは珍しいですね。
takさんがやっている姿、絵になりますねえ。
土と木で、たいていの身の回りのものは出来ちゃうんですよね。
原点に返ることの大切さ、原点を振り返ることの大切さ、ありますよね。
蛇足ながら、音楽にもね。

投稿者 fuRu : 2007年03月06日 19:39

中里さま
コメントとTB、ありがとうございました。
こういうムーブメントは、一時的な盛り上がりにしてしまってはいけませんよね。
ながーく、ながーく、やり続けることが大切だと思います。
しかし、一方で、このように世間の関心が高まると、やり続ける気持ちなどなくて、単に便乗してビジネスに結びつけようとする人が現れるのも問題ですよね。

投稿者 fuRu : 2007年03月06日 19:43

fuRuさん、是非遊びにきてくださいね。

おっしゃるとおり、音楽も!

投稿者 tak : 2007年03月07日 18:10

tak さま
サンキュー、です!

投稿者 fuRu : 2007年03月08日 13:32