2005年05月17日
新シルクロード 第5集--「天山南路 ラピスラズリの輝き」
新シルクロード 第5集「天山南路 ラピスラズリの輝き」を観た。
1995年9月7日、午後3時過ぎ。
僕らはコルラのバスターミナルを王さんらに見送られてカジュガルに向けて出発。
ルートは天山南路だ。
この旅でもっとも長いバスの旅。
でも、僕らはクチャに立ち寄る事は無く、ほぼ24時間後の8日の夕方にカシュガルに到着した。
10年前にシルクロードに行こうとは思ったときには
とにかく行ってみようという気持ちが先で、下調べなどほとんどしておらず、
25年前に放送された「NHKシルクロード」も記憶にないから、
クチャに立ち寄ろうなんてことは思ってもいなかった。
でも、そこは「キジル千仏洞」など、見どころ満載の土地。
しかし、ウイグルの人々との生々しい時間をすごしたトルファンのすぐ後では
たとえそこに立ち寄ったとしても、トルファンとクチャの本質的な違いをかぎ分けることなど
異邦の僕らには出来なかっただろう。
僕らには、激しく揺れるバスの旅が天山南路の記憶に残った。
シルクロードを目指した理由のひとつは
三蔵法師が仏教の教えを求めてたどった険しい道に、この身を置いてみようと思ったからだ。
僕らは西安から敦煌、トルファンと進みながら
そこには、あまりにも仏教的なものが存在しないという事に気付き始めていた。
遺跡はたくさんある。しかし、生きた仏教は死に絶えてしまったかのよう。
敦煌は言わずもがな、トルファンの高昌国の遺跡、ベゼクリク千仏洞・・・などなど。
遺跡として、これほどまでの規模のものがこれほどたくさん残されていながら
どうして、現代の今に、そのかけらも残っていないのだろうか?
今回の新シルクロードは
鳩摩羅什に焦点をあてて、仏教の栄えたキジル国のかつての空気を
少しでも浮かび上がらせようとしていた。
それにしても、どうして、遺跡から容易に推測出来るほど栄えた仏教文化が
まるで、入れ替わるかのように消えてしまったのだろうか?
<「新シルクロード」の記事>
○第10集--12月11日「西安 永遠の都」
○第9集--11月20日「カシュガル〜千年の路地に詩(うた)が流れる」
○第8集--10月16日「カラホト 砂に消えた西夏」
○第7集--9月18日「青海 天空をゆく」
○第6集--6月19日「敦煌 石窟に死す」
○第5集--5月17日「天山南路 ラピスラズリの輝き」
○第4集--4月17日「タクラマカン 西域のモナリザ」
○第3集--3月20日「草原の道 風の民」
○第2集--2月20日「トルファン 灼熱の大画廊」
○第1集--1月2日 「楼蘭 四千年の眠り」
投稿者 yasushi_furukawa : 2005年05月17日 09:24
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コメント
現地を旅したfuRuさんの疑問に私が答えることはできないでしょう。
でも、政権が変わり崇拝する宗教が変わっても、人間の拠り所となる神の存在はラピスラズリの天と空の青にあり続けているというのが、何か信じられる、いや、信じたい気持ちになりました。
Macを使っていて、それなりにMacの良さを理解していると思っていた人でも「今度Windows買うから!」って言われることがよくあります。人は移ろぎやすい!!
それにしても現代は、宗教理念のバージョンアップが鳩摩羅什を超えたレベルで行われませんね。
投稿者 Kurita : 2005年05月17日 19:52
Kuritaさん こんにちは
「盛者必衰」とか「諸行無常」という仏教の言葉が出てきてしまいます。
なにかの力、それもとても大きな力で
そこにあったはずの、一つの世界が消えてしまうという事。
シルクロードが無言で表現しているのかと感じてしまいます。
しかし、鳩摩羅什の足跡はこの日本にちゃんと残されているのですよね。
あるいは、チベットの高地にたどりついているわけです。
投稿者 fuRu : 2005年05月18日 09:33