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2005年03月07日

みえない

[映画・ドラマ・舞台--movie/play ]

「もう逢わない」
逢いたいのに会えない。話したいのに話せない。
出口のない空間。
出口のない空間にはまりこんでしまうこと。
それは、出口が見えないだけなんだということ。
そして、「みえない」という不安。

ホワイトアウトした状況で雪洞を掘ってビバークする。
自分がどこにいるのか見えない。
でもそれは見えないだけ。
たどり着きたい小屋のすぐ裏にいることさえ気がつかない。
見えないだけ。
吹きだまりで発見された車の中で梓は
出口を失った自分にいらだつ。
(でも、それは、見えないだけなんだ。)

拓郎の家庭教師から
自分の知らない家族の姿を聞かされる勇吉。
知らないということ。
それは、ただ知らないということ。
知りたいこと。知らされないこと。知りたいと思わないこと。
そして、ただ知らないということ。

暴走族ではないのに、噂が一人歩きして学校に呼び出されるということ。
知らないのに知っていると勘違いする大人たち。傷つく少年。
知りたいこと。知らないこと。知らせたいこと。

出口が、みえないということ。

<蛇足>
ちょっと東京を離れていたので、ずいぶんと遅れてのエントリーです。
25年前、雪子さんと純は吹雪の中、へなまずるい爺さんとその馬に助けられた。
雪子さんは東京育ちで北海道の冬を知らない。
そして、へなまずるい爺さんとその馬は北海道の冬を生き抜いてきた。25年前に倉本聡が描いた吹雪は、そのような存在の違いを浮き彫りにする吹雪でした。倉本流の鋭い文明批判です。しかし、今回の吹雪は、そのような文明批判ではなく、もっと人間の内面を隠喩している、ドラマの骨格を隠喩するものとして扱われていたのが印象的でした。
ちなみに、今回は倉本自身の脚本でしたね。

○第1話のこと「コーヒーミルと割れるお皿
○第2話のこと「土をこねることと「結婚」
○第3話のこと「一人でいきる
○第4話のこと「お金と時間---境界線
○第5話のこと「言う、言わない、言えない
○第6話のこと「クリスマスの夜に
○第7話のこと「ふりかえるという「仕事」
○第8話のこと「みえない
○第9話のこと「
○第10話のこと「みられる
○第11話のこと「つめこまれた時間

投稿者 yasushi_furukawa : 2005年03月07日 17:20

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» 富良野は雪 横浜も雪 from たまプラ LIFE
毎週、木曜日の10時だけ、決まって見ているドラマ「優しい時間」。 このドラマに漂う雰囲気がすごく好きで、久々にはまっております。 昨日のタイトルは「吹雪」。ドラマの舞台である富良野地方に強烈な吹雪が襲うところから始まります。 ペンション滝川オーナーの... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年03月07日 17:45

» af_blogさんの「優しい時間」の記事 from Amehare MEMO
毎週木曜日フジテレビ系で22時から放映しているTVドラマ「優しい時間」が面白い。色々なことを考えさせられる。でもタイトルの「優しい時間」って何?とも思ってしまう。僕の気持ちを言えば、毎回ドラマの終わり近くに登場する、亡き妻との語らいの時間が、一番優しさを... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年03月08日 21:23

コメント

フルカワさん こんにちは
「優しい時間」のフルカワさんの感想、いつ読んでも、なるほど、なるほどと思わせるもので毎回楽しみにしているsunneko11です。

出口が見えない。まさにそうですね。小屋が目の前にあったにもかかわらず遭難してしまった二人なんてまさに象徴的ですよね。
勇吉も梓ちゃんも、出口は実は目の前にあるのに、吹雪で遭難しているようです。

ドラマはあとわずかで最終回を迎えてしまいますが、最後まで、珈琲を味わうように楽しみたいですね。

投稿者 sunneko11 : 2005年03月07日 17:41

sunneko11さん こんにちは
良く出来たドラマには明瞭なメッセージがあると思っています。
今回の「優しい時間」には、地に足のついた時間と空間があって
それがメッセージを優しく送り出してくれている感じがします。
ドラマも残すところもあと3回。
次回は小泉今日子さんが看護士さん役で出演ですね。
またしても楽しみです。

投稿者 fuRu : 2005年03月07日 17:47

この間、初めてこのドラマを見ました。
「森の時計」という喫茶店の名前もいいし、建物も内装もいい雰囲気ですね。
珪藻土の壁にも(ドラマのは違うのかな?)憧れます。
私は唯一自分で気に入って買った古いぼんぼん時計があるんですが、ねじで巻くんです。
1週間で、止まってしまい、また、ねじを巻きます。
その時計が焦げ茶なので、その時計に合う家にしたいのです。
ストーブもフジカの自分でばらばらにして、掃除できるものです。
電気がなくても両方とも動きます。
人の手で動かせる生活が好きです。
薪ストーブで本当の炎で暖まることができたらと思います。たき火ってなんだかいいですよね。

投稿者 reirei : 2005年03月07日 18:47

reireiさん
>電気がなくても両方とも動きます。
>人の手で動かせる生活が好きです。
現代の社会はエネルギーに頼りすぎているのでしょうね。
ホンのちょっとペースを落として「ゆっくり」にすれば、ずいぶんと楽になるような気がします。
僕も炎を見ているのが好きです。焚き火をするのも大好きです。
炎のゆらゆらしているのを見ていると気持ちが安らぎますね。暖かいし。
ただ、なかなか焚き火をゆるしてくれるところが少なくなりました。

投稿者 fuRu : 2005年03月08日 10:03

私も焚き火が大好き。
炎って見てるだけで気分がいいですよね。
家の隣が野原みたいになっていて、風がないと、焚き火しちゃうんですよ。
本当はいけないんだけど、焚き火はやめられません。火と木の匂いも好きなんですね。

投稿者 reirei : 2005年03月08日 19:44

reireiさん
家の近くで焚き火が出来るって素敵ですね。
僕も家を建てるなら(?)そんな場所が理想です。。

投稿者 fuRu : 2005年03月09日 00:43

フルカワさん こんにちは
僕の勝手なTBに丁寧なコメントとTBをいただき誠にありがとうございます。

でもフルカワさん、jはじめましてではないですから(笑
以前にiPodの件と、翻訳の件でコメントをしたことがあります。
いつも読まさせて頂いています。これからもよろしくお願いします。

投稿者 amehare : 2005年03月09日 01:39

amehareさん こんにちは
「amehare」というブログの名前はいつか見た憶えがあったのですが
失礼いたしました。
これに懲りずにこれからもよろしくお願いします。

投稿者 fuRu : 2005年03月09日 20:34

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