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2005年02月03日

Beauty Is A Rare Thing: The Complete Atlantic Recordings

[ジャズ--jazz ,音楽--music ]

Beauty Is A Rare Thing: The Complete Atlantic Recordings
amazon

オーネット・コールマンがアトランティックレーベルに吹き込んだ演奏を
録音順に並べて収録した6枚組みのボックスセット。
6枚を通して聴いてみて、オーネットコールマンが少しわかった気がした。

なかなか凝ったボックスセットでパッケージングも面白い。

オーネットコールマンのデビューは1958年にContemporaryに吹き込んだ「SOMETHING ELSE!」(誰かのレコードと同じタイトル)。しかし、注目されるのはアトランティックに移籍して最初の録音である、「フリージャズはここから始まった」みたいな言われ方もする「The Shape Of Jazz To Come (1959)」から。


The Shape Of Jazz To Come (1959)→amazon

音楽はいくつかの音を奏でて心地よい響きを追求するもの。心地よい響きとして、いくつかの音の組み合わせが見出され「ハーモニーの文化」が築かれる。いつしか「ハーモニーの文化」は教養を強請するようになり、「音楽の文化」を1つの括りのなかに閉じこめてしまった。
オーネットが世間に登場した時に、このお高くとまった「音楽の文化」に対するアンチテーゼとしてとらえられた。反抗する音楽。
しかし、オーネットの吹くアルトサックスの音色に耳を傾ければ、そこには音を奏でることの喜びにとりつかれた、のんきな叔父さんオーネットの姿が、はっきりとした輪郭をもって立ち現れてくるはずだ。

ヴィム・ヴェンダースの「ソウル・オブ・マン」を観て感じたのは、ブルースマンたちがブルースを唄わざるを得なかったということ。ブルースを唄うということが彼らの人生そのものだったということ。
「音楽」というものは教養の世界に縛られることなく、僕らのそばで生まれたての赤ちゃんのように、そもそも「そこ」にあるということ。

オーネットの「ブヒー」ってな音に、何だかとても「しあわせ」なものを感じるのは僕だけではないはずだ。ここには「音楽」そのものがある。人が生きていることに最も近づいた「音楽」の種がここにはある。

オーネットは、世間で評判だったにもかかわらずに生活苦に追われ1961年に音楽界から姿を消す。
ブルーノートに吹き込んだストックホルムでの2枚のライブは復帰直後の傑作だ。


FREE JAZZ(1960)→amazon

ちなみに、このボックスセットにも収録されている「FREE JAZZ」では、ビルエヴァンスのファーストトリオのベーシスト、スコット・ラファロが参加。録音は「Portrait In Jazz」と「Exploratio」のあいだというのも興味深い。

さらに、このボックスセットには、ガンサーシュラーの「ジャズ・アブストラクト」のセッションも含まれていて、このセッションではなんとビルエヴァンスとオーネットコールマンが共演しているのだ。これは、買ってから気がついたおまけ。1960年という時代の混とんが表れているおまけだ。

オーネットコールマンのディスコグラフィ


※新しいホームページで情報更新中!!

投稿者 furukawa_yasushi : 2005年02月03日 09:15

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» アイディアを次々に演奏に注ぎ込め from hinschreiben von der Kiefer
って、たしかOrnette Colemanが言ってたように思うんだけど。 「次々に」ってところがミソなのよ。どんどん展開していけ、と。 「自分が他のメンバー全員の音を翻訳している」と言うようなことも言ってたなぁ(これはprime timeについて)。prime timeって、そうやって... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年03月20日 18:08

コメント

>人が生きていることに最も近づいた「音楽」の種がここにはある。
その種を発芽させたのが、サイドメンバーでもあったドン・チェリーですね。
70年代の郵便貯金ホールのドン・チェリーのライブでは妻のモキ(フィンランドの先住民ラップ人を先祖にもつ)と二人の幼子もステージに上がって遊んでいました。

投稿者 iGa : 2005年02月03日 11:45

iGaさん こんにちは
ドンチェリーは「永遠のリズム」というレコードを友達が持っていて
そいつの家におしかけていっては良く聞きました。お金のない学生時代です。
ガムランやっているんですよね。

投稿者 古川泰司 : 2005年02月04日 13:05