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2010年12月 アーカイブ

2010年12月01日

「オラクル・ナイト」---ポール・オースター

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「オラクル・ナイト」
著:ポール・オースター 訳:柴田元幸 発行:新潮社
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アメリカの現代作家、ポール・オースターの「幻影の書」に続く最新訳、とはいえ、本国で出版されたのは2003年ですから、日本の読者は7年間のお預けだったことになります。翌年、あるいは2年後には日本語訳が出るアーヴィングとはずいぶんと違うわけですが、オースターといえば柴田さんの訳で読みたいところですから、ご多忙の柴田さんの訳を待つのも、それはそれ、楽しい時間なのかもしれません。

小説は入れ子の入れ子というような複雑な構造になっていて、そのちょっと入り組んだ構造を解きほぐしながら読むという、まるでパズルを解くような楽しみがこの本にはあります、が、訳者あとがきで柴田さんが書いておられるように、その複雑な「構造」、それは記憶と想像の人としてのありかたそのものなのですが、それこそがオースターの描きたかったことなのでは、という考えに深くうなずけるところがあります。
オースターの小説世界にがっちりとコミットメントしている訳者ならではの解説だと思いますし、まさに日本語に訳することによって、作者の言いたかったことを「日本語」という世界で我々に伝えてくれるという離れ業が成し遂げられている本だと思います。

とってもとても面白い本です。

2010年12月02日

「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」---C.ダグラス・ラミス

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「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか」
著:C.ダグラス・ラミス 平凡社ライブラリー
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なんだか難しそうなタイトルですが、内容はいたって平易で、特に本書の前半は面白かったです。あまりにも面白く、誰が書いているのかも確認しないで読み進めていって、読み終わる頃に、作者がアメリカ人であることを知ってびっくり。そう思って読み返すと、こういう本は日本人には書けない本かもしれません。

経済学の本かというとそれだけではなくて憲法9条についての鋭い分析があります。

経済については、トルーマン大統領が開発の進んでいない国々に手を差し伸べて発展させるという政策を打ち出した、という話から「発展」という言葉の持つ意味を掘り下げることで、アメリカの政策が、しいては経済先進国が何を目的としていたのかを分析しています。

そのなかで、「経済発展」と「自給自足」が対比されて書かれています。
経済発展主義が歴史を豊かでもあるが問題を多く抱えてしまった現代社会に導いたのです。
著者は、経済発展主義は必然でもなんでもない、特定の要求で推し進められたもので、それが常識であるとするならば、現代の常識とは現代の常識でしかない、と言います。

経済発展の名のもとに地球の資源を使い尽くそうとしている人類。
著者は、その姿を沈没するタイタニックにたとえています。
沈没するのを知っていながら誰も止めることができない。
考えてみると怖い話です。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というジョークがありましたが、横断歩道ならば車も止まってくれますが、真冬の海に飛び込めば全員凍死してしまいますね。

豊かさとはなにか、どういうことか?経済発展は豊かさの一つかもしれませんが、その問題点もある。では、どうしたらいいのか?

「自給自足」が対比されているのは言い得ているなあと、私は膝をたたきながら読んでいました。

ここには、私が考えている家づくり、参加するハーフビルドの家づくりに通底している考え方があると感じました。

これについては、改めて書いてみたいと思います。

みなさんにもおすすめの一冊です。

2010年12月04日

皇帝ダリア

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ひときわ背が高く、青空を背に華を咲かせる皇帝ダリアの姿が目にとまります。
冬の空の透明な蒼が花の姿をくっきりと捉えているのでしょう。
冬の風景です。

蒼き空 皇帝ダリア 天にたつ

2010年12月06日

「木の家リフォームを勉強する本」

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「木の家リフォームを勉強する本」
「木の家リフォーム」プロジェクト編 出版:農文協
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このところ、自分で書いたり関わったりしている本が多いのですが、これは私の仕事をご紹介していただいた本です。
国産材を使った木の家リフォームの事例が沢山紹介されており、「satoyama_House」を「ライフステージで考える木の家リフォーム」(P100)で、「ginkgo_House」を「木の家リフォームで実現させたマンション・シンプルライフ」(P134)で紹介していただきました。

実例もたくさん紹介されていてそれだけで充実しているのですが、この本のすごいところはタイトルにあるように、木の家リフォームをやってみたいと考えている人に役立つ知識が満載されているところです。

木の家リフォームを考えておられる方だけでなく、これからリフォームを考えておられる方にもおすすめの一冊になっています。

2010年12月07日

goma_House---配筋検査

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本日「goma_House」の配筋検査を行ないました。
丁寧な仕事をされていて問題なし。
明日はコンクリート打設で、年明け早々に上棟となります。

今回は基礎の立ち上がり部分まで一気にコンクリートを流し込むということで、立ち上がりの型枠まで出来ていました。
一般的には耐圧盤と呼ばれる鉄筋コンクリートの板を作り、その上に土台がのる立ち上がり部分を打ち継ぎます。この打ち継ぎ部分から漏水することがあるため、今回のような方法は良いと思います。ただし、簡単なようでなかなか難しくこのようにやってくださる工務店さんは残念ながら多くはありません。

施工:深谷建設

2010年12月08日

kotori_House---外構打ち合わせ

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建物の感じがわかったところで、先日、「kotori_House」の外構の打ち合わせを行ないました。あいにく息子さんが風邪をひいてしまったということで奥様は来られなかったのですが、ご主人に模型を託されていました。
良いですねえ、この模型。こういうふうにご希望を表現していただくとわかりやすいです。家づくりには住まい手さんにどんどん参加して欲しいと思っている私ですから、とてもとても、この模型を見せていただいたときは嬉しく思いました。
というわけで、現状の高低差や、周囲の状況を考え、ほぼこの案で図面にしてみることになりました。「kotori_House」の完成は来年3月です。

2010年12月09日

0676_House---表門

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「0676_House」
完成見学会の時に未完成だった表門が完成しておりました。
なかなかいい感じにできたと自画自賛であります。

2010年12月10日

「今さら人には聞けない木のはなし」---林知行

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「今さら人には聞けない木のはなし」
著:林知行 発行:日刊木材新聞社
発行元通販

明日は家づくり学校の2年生を引率して福島の協和木材さんを訪ねます。
家づくり学校では1年生にも木の話をしています。
新建ハウジングプラスワンにも先々月ですが木材のはなしを書かせていただきました。
昨年暮れに出した共著ではありますが初の出版物は「やっぱり、木の家がほしい!」でした。
千葉県の林業家である斎藤さんとの地域材を使った家づくりの運動も8年目。
もうそろそろ書店に並ぶ「世界で一番やさしい 木材」でも、30名近い仲間との共著ですが取りまとめ役をやらせていただきました。
このように、どっぶりと木の家に関わっているわけですが、それでも、間違ったことを書いてはいまいか、言ってはいまいかと、いつもいつも確認しています。
この本は「今さら聞けない」とあるように、知っているようで知られていないと著者が思う項目を分かりやすく解説してあって、今までの私のやってきたこと言ってきたこと書いてきたことを確認させていただくことができました。
もとが「日刊木材新聞」という一般の方の目にはふれることのない業界新聞の連載なのだそうですが、専門家向けの小難しい話ではなく誰が読んでもわかるようなわかりやすい文章になっていて、木のことに感心を持っておられる方、木の家に感心を持っておられる方には大いにお勧めしたい本です。
とても良い本なのですが、残念ながら一般書店やamazonでの取り扱いはないようで、日刊木材新聞のホームページから注文できるようです。

最後に、著者のブログを紹介しておきましょう。

今さら人には聞けない木のはなし(ブログ編)

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2010年12月11日

家づくり学校で福島の協和木材さんへ行ってきました

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今日は、福島の協和木材さんへ家づくり学校の2年生の引率で行ってきました。
協和木材さんは製材量では、たぶん日本一の国産材の製材所です。

午前中は、協和木材さんが手がけている間伐の様子を見学。間伐とは言っても50年生の木ですから倒れるときの迫力が違います。山を手入れすることの大切さを説く素材生産者からの言葉も現地で聞くと重みが違います。伐採や山の手入れまでやっておられる製材所は他にはないでしょう。製材業をただのビジネスとだけ考えているのではない協和さんの姿勢がうかがえます。

その後、手入れされた山林を見学。お昼を食べて協和木材さんへ。

さすがに協和さんの製材工場は広く、近くにあった原木市場よりも丸太の量も多かったりと、日本一というのが頷けます。

協和さんで扱っているのは主に杉材なのですが、独自の乾燥方法をとっています。
それは、製材した角材を最初の一ヶ月間天然乾燥させて、それから高温処理をして、中温乾燥で仕上げるという、まったくもって手間のかかるやりかたなのです。

杉という木は含水率が高く乾燥が難しい材料です。その難しさを試行錯誤のすえ、そのような手間のかかる方法で解決するということにも、木を愛する気持ちが現れているのではないでしょうか。

参加してくれた家づくり学校の受講生たちも、今回の見学会で多くのものを感じてくれたのではないでしょうか。

2010年12月13日

「世界で一番やさしい 木材」---木の研究会

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「世界で一番やさしい 木材」
著:木の研究会 発行:エクスナレッジ
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家づくりの会の有志の呼びかけで、木の家に関心をもつ、林業家・製材所・工務店などが集まった「木の研究会」が、それぞれの知見や今までの活動の成果を一冊の本にまとめあげました。
本の対象は「2級建築士の試験を受験する人」ということでしたが、内容はどんどん濃くなってとても密度の高い本になったと思います。
設計者、工務店など木材に関わる人にとって一冊持っていても損はない内容になっています。

第一章と全体の取りまとめを私がやらせていただきましたが、第二章を土曜日に家づくり学校でお世話になった協和木材さんに、第三章を木童さんに、第四章を堀井工務店さんにそれぞれ取りまとめ役をやっていただきました。皆さんの尽力がなければこの本は完成しませんでした。お陰さまで良い本を完成させる事ができました。ありがとうございます。

なお、「はじめに」を私が書かせていただいておりますが、そのなかで肩書きに「木の研究会代表」とありますが、これは「木の研究会を代表して」の誤りです。この場をお借りしてお詫びと訂正をさせていただきたいと思います。
近日中に正誤表を作成いたしますのでよろしくお願いします。

<正誤表Ver.1(2011/01/27)>

17ページ
<誤>古川泰司(木の研究会代表)→<正>古川泰司(木の研究会を代表して)

22ページ
<誤>中段 (図3)→<正>下段3行目に移動

35ページ
<誤>西川材・秩父材 マップ上の位置 埼玉県東部→<正>埼玉県西部

42ページ
<誤>中段 14行目 国産のマツ材→<正>国産のアカマツ材

52ページ
<誤>下段 E-70のスギ、E-90のヒノキ→<正>E-70以上のスギ、E-90以上のヒノキ

70ページ
<誤>上段 15年輪を超えたあたりから辺材は成熟期を迎えて心材となり、これが成熟材となる。このため、年輪の少ない樹木の先端に成熟材は存在せず、未成熟材となる辺材だけが存在する。
→<正>15年輪を超えた丸太の外側の部分は成熟期を迎えた成熟材となる。このため、15年輪以内の樹木の先端にあたる部分には成熟材は存在せず、未成熟材だけが存在する。

98ページ
<誤>中段 7産地→<正>8産地 8番の北米材の解説が抜けている

144ページ
<誤>左段 雨が降ると仕事を休んだ。→<正>雨が降ると仕事を休む、などと言われた。

154ページ
<誤>上段 6行目 手早く入手できる。→<正>手早く入手できる。(表1)

2010年12月15日

「住宅工事現場写真帖」---初の単独著書です。

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今週の月曜日の早朝になります。
初の単独著書となる「住宅工事現場写真帖」が校了。
私も朝方の3時過ぎまで原稿のチェックと校正をしていました。
校了というのは印刷所にデータが渡って印刷が始まるということです。
出版側の担当者Fさんと編集担当のHさん。デザイナーのKさん。お疲れさまでした。最後まで私のこだわりにお付き合いいただきましてありがとうございます。それから、執筆協力してくれました「ハーフビルド研究会」をいっしょにやっている菅沼さんに感謝いたします。

この本は3年越しの企画がようやくひとつの形となったものです。
なんでこんなに時間がかかったかといいますと
今回の本は「やっぱり、木の家がほしい!」のような文章主体の本ではなく、写真解説がメインの本になっていています。解説を客観的に書くだけならば技術的な問題なのでそれに従って作業を進めてゆけばいいのですが、私にはただの解説書にはしたくないという強い思いがありました。その思いを実現するための書籍としてどのようにしたらいいのかを編集者と喧々諤々。一時期は作業が中断してしまうこともあるような、書いては直し書いては直しの試行錯誤だったからです。

3年の間に当初の思いは幾分修正され、掲載したい情報もずいぶんと整理されました。逆にそれで読みやすい本になったと思います。この本が、著者である私の独りよがりにならなかったのは、編集者の客観的な視線が道標になってくれたからだと深く感謝いたします。

それで、本書の内容ですが、副タイトルに「新しい手づくり住宅のススメ」と付けておりまして、セルフビルドで家を建てたい人のためのガイドブックです。ただし、基礎工事から骨組みまですべてを自分でやるのは大変です。だからといって、自分で家を作ることを諦めてほしくない。無理なく出来る自分なりのセルフビルドを見つけてほしい。だからフルメニューのセルフビルドではなく、半分だけのセルフビルド、ということでハーフビルドのすすめをうたった本になっています。

発売予定日は 12月20日。
私もまだ刷り上がった本を手にしてはいませんが、良い本になったと思いますので、ぜひみなさんも書店に並びましたらお手にしてみてください。

<追記>
写真はカバーの案としてデザイナーさんが作ってくれたものの一つで、実際のカバーに一番イメージが近いものです。副タイトルがこの時は「本格的手づくり住宅のススメ」になっていますね。

2010年12月17日

AFRO-CUBAN---Kenny Dorham

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AFRO-CUBAN---Kenny Dorham
録音:1955年1月30日、3月29日
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Carlos "Patato" Valdes。3月29日のセッションに参加しているコンガ奏者。
彼のコンガの響きはこのレコードで永遠に刻み込まれました。

はじけるビートに永遠の生命が宿る。
生の演奏は一期一会の現れだったはずなのに、毎回毎回、CDプレーヤーを回すたびに私たちの前に立ち現れる音。そのたびに、私たちは音の中に身をゆだねます。私たちを包みこんでくれる音、まるで生演奏を聞いているかのように。

これは、レコードの不思議でも何でもなくて、
技術革新で私たちの生活環境が変わったということです。
それは不思議ではなくて、ただ変わったということ。

そして、録音されて25年経った80年代にこのレコードが大復活しました。
この事件は象徴的です。逆に言いますと、私たちはレコードの誕生と共に膨大な音楽のアーカイブを持つことになった。そのアーカイブをたどれば、ひょっとしたら新しい音楽は必要ないかもしれない、くらいに過去のアーカイブは充実したものになってきている。

複製芸術の時代。哲学者が憂いた、一期一会の神聖さの喪失は、今では誰もオオゴトとしていないのかもしれません。

寒さが厳しいこの頃。ホットなレコードを一枚ご紹介しました。

2010年12月18日

Bluetooth Keyboard

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なにやら・・・

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2010年12月20日

X'masはもうすぐ

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クリスマスはもうすぐそこに。
子供たちは、プレゼントをサンタさんに頼むのかお父さんに頼むのか、お母さんに相談していました。

2010年12月21日

”木の家”耐震改修推進会議 大勉強会in神戸2011/01/17

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2011年1月17日。
阪神淡路を襲った震災から16年。
あのような惨事を二度と起こさないために
木造住宅の耐震改修工事推進の大勉強会が行われます。

私も、建築家の半田雅俊氏からの推薦で午後からの第三分科会で事例発表をさせていただくことになりました。

公式HPには当日のプログラムの詳細が掲載されています。

関西方面にお住まいの方でご興味のある方は、あるいは場所は神戸で東京からはちょっと遠いですけれども関東圏にお住まいの方もご参加してみてはいかがでしょうか。

2010年12月22日

「住宅工事現場写真帖」---刷り上がってきました

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おおおおお!
届きました。
「住宅工事現場写真帖」。
初の単独著書です。
今まで、何度もゲラの状態では見ていましたが、こうして本になってやってくると感慨深いものがあります。
一般の書店に並ぶのは来週くらいからのようです。
amazonでは予約開始。24日発売となっています。

書店に並び始めたら、またレポートいたします。笑

2010年12月24日

モモ---ミヒャエル・エンデ

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モモ
著:ミヒャエル・エンデ 訳:大島 かおり 出版:岩波書店
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ちょっと前ですが、ミヒャエル・エンデを初めて読みました。
ああ、この本を もし高校生のとき、あるいは大学生のときに呼んでいたらどんなだったろうかと、頭をよぎります。
たぶん、私は間違いなくエンデの世界にのめりこんでいったことでしょう。

人は自分の時間を自分自身のために使っています。
他人のために人に協力する時間も、感謝され、人と人とのつながりを感じることが出来ますから、すなわちそれは自分自身のために使った時間だと言えるのです。
しかし、一方では無駄な時間もたくさんあります。おしゃべりしたり考えたり、一緒に悩んだり。でも、無駄とはいっても、その人にとっては大切な時間。それらの時間は人と人の架け橋であり、人と人をつないでくれる潤滑油です。このように、人は自分の為に必要な時間を使っています。無駄な時間なんて本当はありません。その時間が人と人をつないでくれているのです。

でも、少しでも早くたくさんのことを成し遂げようとすれば、おしゃべりは禁物。悩んだり考えたりすることも無駄な時間とされてしまう。その無駄な時間を取り除き合理的に時間を使うことができれば、もっともっと時間を有効に使うことが出来る。モノを作るのだったら、もっともっとたくさんのものを作ることが出来ます。
しかし、そのとき時間は、人との関係を失ない生産性で評価される、つまり時間がお金としてやり取りされるようになります。
自分自身のためにあった時間をお金と引き替えに差し出すこと。自分の時間を誰のものでもないお金にして貯めること。そして、自分の為に必要であったはずの時間が失われ、お金を貯めることが目的になったりします。
「モモ」はそのように自分の時間を失ってしまった人たちの物語です。

モモの中ででてくる「時間泥棒」とは自分自身のものであったはずの時間を奪われていませんか?と、現代人へ大きな疑問符です。

一人一人が自分自身の時間を持つこと。自分自身であること、自分を失わないこと。

ファンタスティックなお話でありながら、テーマは深い。深いけれども暗くはない。これはこれはとても素敵な物語なのです。

クリスマスの夜に書き留めておきたい一冊。

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2010年12月26日

影遊び

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今年のサンタさんは予算があったようで
娘にはデジカメ、息子にはDSi LLが届けられました。
(実はサンタさん、某家電量販店のポイントをタップリと貯めていたようです)
娘のデジカメは1400万画素で我が家で一番解像度の高いカメラです。
(お父さんがほしいくらい)
サンタさんの考えでは、良いものを長く使ってほしいということのようです。
(それには賛成)

DSiもデジカメが付いています。そこで、昨日の午後、みんなでお外へ「何か撮ろう」と勇んででかけました。(おとうさんのカメラはGRD)

一年で一番日が短い時期ですから午後の早い時間でも影はどんどん長くなっています。
歩いていると、近くの公園のコンクリートの壁に映る樹の影を発見。
面白い、ということで、さっそく撮影大会。
撮影大会が、知らぬ間に影遊びになっていて、息子は樹の影から手足を出して「木と一体化」を試みていますし、娘は両手で三角を作っておむすびになりすましています。(上の写真はその直後)

カメラを持って外に出ると色々と発見があるようで、子供たちは木の芽とか撮っていました。

1年を残すところ一週間切った週末の午後のひとときでした。

2010年12月28日

六角堂@五浦

岡倉天心が終の棲家として選んだのは茨城県の北部、福島県との県境に近い五浦海岸でした。その景観に惚れ込んでとのこと。実際にその地に立ち、当時の面影をたぐるように景色を眺めてみれば天心の気持ちもよく理解できるというものです。その天心の住居も最初はおんぼろだったそうですが、周囲の敷地を買い求め、若き画家が集まれる場所を建てるなど芸術家のコミュニティをそこにつくろうとしました。そして、その五浦海岸の岬の突端に自らの設計で六角堂を作ったのです。
岡倉天心のことについて、私は全く何も知らないに等しいのですが、人の書くところによると、明治という新しい時代の始まりに日本美術についての確固たるアイデアをもって望んだとのこと。そのくだりを読むにつけて、並々ならぬ精神的な強さを持った方だと思うわけです。

ところでこの六角堂、実はその背後には巨大な観光ホテルがそびえ立ち(実は私はそこに宿泊したのですが)天心が見ていた五浦の風景は既に大きく様変わりしています。

六角堂のある「茨城大学五浦美術文化研究所」の先の小高い丘の上に「茨城県天心記念五浦美術館」が建っています。内藤廣氏設計の建物で、プレキャストコンクリートの端正な架構が印象的な建物ですが、設計者の言葉通り周囲の景観になじむように作られており、五浦の景色を壊していないのはさすがだなと思いました。

この美術館には天心がやってきた頃の五浦の様子が模型で再現されています。

蛇足ながら、六角堂は12月29日から冬季休業と思って行ったら、27日からお休みになっていて28日(今日ですね)出向いた私はなかを見ることが出来ず遠方から眺めるだけでした。なんともなあ、というところですね。

◯東京芸術大学のキャンパス内にも岡倉天心を祭った六角堂があるそうです。
六角堂」(aki's STOCKTAKING)

2010年12月29日

momi_House---軒の深さ

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momi_Houseの南側の軒は1.15m出ています。雨樋の先まであわせると1.2m以上になります。
先日、現場で軒の深さはこのくらいあるといいですねと大工さんと意気投合しました。
しかし、普通はこれほど深い軒を作れないことが多いのです。
軒の深さは1m以上出る場合にはその部分は建築面積に算入されます。ですから、建築面積をめいっぱいに設計していると軒の出を1m以内におさめないといけなくなるのです。

今回は建築面積に余裕があったので深い軒も可能となりました。

これから家を建てられる方は、建築面積を多少削っても軒を深く出してみることを検討してみてもいいかもしれませんね。

2010年12月30日

赤い実

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午後3時過ぎともなると冬の光は茜色に染まり始めます。
赤い実、小さいくせにとても印象的に輝いていました。
小粒でもキラリと光り、道行く人の目にとまるような存在になりたいですね。

赤い実の茜色なり冬の陽に

さて、アトリエフルカワは今日まで仕事です。

2010年12月31日

2010年の最後に

「住宅工事現場写真帖」ですが、
amazonでも発売開始となり、何人かの方からは
注文していた本が手元に届きましたよという嬉しい知らせが届いています。
赤坂の駅前の本屋さんで、この本を手にしている女性を目撃したというお知らせもいただきました。
嬉しい限りです。
お世話になっている方で献本しようと思っていた人たちの中には
既に書店で購入してくださっていたりと、本当に皆さんに感謝するばかりです。

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