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2009年11月 アーカイブ

2009年11月01日

「建築学生の[就活]完全マニュアル」

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「建築学生の[就活]完全マニュアル」
著者:星裕之 発行:エクスナレッジ
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こういう本を紹介するからといって、私がこれから就活をするわけではありません。
この本は、たしかにこれから建築業界に入ろうとする学生さん向けに書かれている本ですが、複雑多様化する建築業界を、全体的に俯瞰して紹介してくれる本であり、今まさに建築業界にいる自分のポジションを見定めるための絶好のガイドブックとなっています。だから、私などが読んでいてとても面白い。ほんとに、建築業界の全体を良く把握している本だと思います。

私の事務所でもスタッフを随時募集していて、時々面接などもしたりしますし、試しに働いてもらうこともあります。これから建築業界に入ろうとする若い人と話をするのは面白い。しかし、あまりにも、さきほども書きましたが複雑多様化する建築業界について、今の若い人は何も知らないのですね。まあ、でも、私だって、学生の頃、どれくらいこの業界のことを知っていたかといえば、人のことは言えません。模型が作れる、図面がちょっとは描けると雇ってもらえるかな、なんて考えていたくらいです。
しかし、この建築業界に今まで経験したことのない大変動が訪れるのではと多くの予測があるなか、自分の生きる道をそれぞれが求めてゆく必要のある時代に、こういう業界の全体像をおさらいしておくことも、あながち無意味なことではないと思ったりします。

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2009年11月02日

土浦亀城邸

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家づくりの会の建築家交流ツアーで土浦亀城邸を拝見することが出来ました。
建築を学ぶものでしたら誰もが知っている有名な住宅です。
1935年に完成。すでに70年以上も時を経た住宅。東京都有形文化財にも指定されています。
秋晴れの青空に白いモダンな箱がよく似合います。

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2009年11月04日

泰山館

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建築家交流ツアーで、土浦亀城邸ともう一つ見学させていただいた、泉幸甫氏の泰山館。
他の参加者はもっとたくさん見学していますが、私はこの2件のみ。
以前からちゃんと見たいと思っていた建築ですが、泉氏ご本人のご案内で見ることが出来ました。
泰山館はクリストファー・アレグザンダーパターン・ランゲージの手法で設計された建物です。パターン・ランゲージとは利用者参加型の設計や建設のプロセスをサポートするための手法です。
泰山館は、集合住宅におけるパターン・ランゲージ手法の採用例としてエポックメイキングな作品でもあります。
20年前、40歳の泉幸甫氏がやりとげたことは、今の私たちにも大きな刺激をあたえ続けています。

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2009年11月06日

「建築する動物たち」---マイク・ハンセル

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「建築する動物たち」
著:マイク・ハンセル 訳:長野敬+赤松眞紀 発行:青土社
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人以外の動物が行う構築行為について分析することで
人間の構築行為について考える好著。
もっとも印象に残った言葉は「空間の記憶」。
「空間の記憶」によって構築行動を起こすのは人間だけではないのかと、この本は問いかけてくれているようです。
各章の内容をメモしておきます。

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2009年11月09日

西落合の家---吉村順三

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吉村順三設計の西落合の家(1957年)が取り壊されるそうです。解体前に見学会が開かれるというので出かけてきました。
入り口のたたずまいも端正なものですが、中に入って、まずは「小さい」という第一印象を受けました。「小さい」ということは「狭い」ということでもありますが、そこには住まいというものがもつべきバランスを熟考してえられたひとつのかたちとしての「小さい」であり、吉村順三という建築家の強い意志さえ感じることが出来たと思います。

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2009年11月11日

リメンバランスデー

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ユーロッパのサッカー、特にイングランドのプレミアリーグが好きでよく観ています。
この時期になると決まって、各チームの監督の胸に、このワッペンが付けられているのが目につきます。最初はリンゴかなと思ったのですがポピーの花でした。選手のなかにもユニフォームに大きなポピーを付けている人がいます。それにしても、いったいこれは何だろうかと思って、調べてみたら「リメンバランスデー」のポピーのワッペンだということがわかりました。「リメンバランスデー」とは日本でいう戦没者記念日。その日に募金を募りこのワッペンが配布されるのだそうです。赤い羽募金のようなものに近いかもしれません。
戦没者と言うと日本では太平洋戦争がイメージされますが、ここでは第一次世界大戦のこと。1918年の11月11日の11時は第一次世界大戦の終結の時です。

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2009年11月13日

「10宅論」---隈研吾

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「10宅論」
著:隈研吾 ちくま文庫
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1986年10月にでた本を、遅ればせながらといえばあまりにも遅く(何といっても四半世紀)読了しました。
この本の面白いところは日本における住宅のあり方を、考現学的に、それも俯瞰的に眺めようとしているところで、もちろん23年も前の視点ではありますが、それによって建築家という存在を相対化しようとしているというところです。それも、隈研吾さんという建築家が書いているところがますます面白いわけです。

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2009年11月15日

ホームインスペクター

日付が変わって昨日になりますが、「日本ホームインスペクター協会」の平成21年度「ホームインスペクター資格試験」を受けてきました。事前講義が約一時間半に試験が一時間半でした。
「ホームインスペクター」とは「住宅診断士」と訳されます。具体的には中古住宅を購入しようとしている人たちに対して、その中古住宅の診断をして専門的なアドバイスをする人です。今までは、建築士などがその役割を担ってきましたが、業務として明確な位置づけはされていませんでしたので、この資格を設置することで、職務と職責について明確にしてゆくことが目的だと思われます。
家の履歴書の整備も住宅診断も、中古住宅の流通をもっと活性化しようと言う動きになります。
消費型の住宅政策から蓄積型の住宅政策へ。長期優良住宅、200年住宅という流れと同じ流れにあるものです。

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2009年11月16日

CASBEE評価員

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もうずいぶん前の話になりますが、5月14日に行われたCASBEE評価員の講習会と、7月1日の評価員の試験を受けてきました。試験は合格。CASBEE評価員としての登録をしました。
CASBEEというのは「建築物総合環境性能評価システム」。英語表記で「Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiencv」となり、その頭文字をとって「CASBEE(キャスビー)」といわれています。
一言で言うと、建築行為(作る・使う)で地球環境にどのようなダメージ(負荷)をあたえるのかを総合的に評価する方法です。
評価方法は、環境品質(Q)と環境負荷(L)として、環境効率をQ/Lとして評価します。

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2009年11月18日

Before After

Before After、とは言ってもリフォームの話ではありません。
さて、うえの写真、右と左で何が違うでしょうか?
答えは二つ。

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2009年11月19日

第十六回 大多喜の森を訪ねる見学会のお知らせ

春秋恒例の大多喜の森を訪ねる見学会。
秋の見学会のシーズンがやってきました。
春はタケノコ堀。秋はネイチャークラフト体験。
南房総の森をご案内しながら自然に親しんでいただけるよう
様々な企画を立てております。
企画の詳細は現在、最後の詰めをやっているところですが
参加の申し込みを始めたいと思います。

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2009年11月20日

「やっぱり、木の家がほしい!」

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お恥ずかしながら、執筆しておりました本が完成。見本が届きました。
タイトルは「やっぱり、木の家がほしい!」。
一般ユーザー向けに、木の家の作り方のポイントを書いています。
編著として「家づくりの会」となっていますが、会の仲間であり一緒に木の研究会をやっている松澤静男さんとの共著となります。
木の家をつくるプロセスやコストのことを松澤さんが担当、木の家の魅力や作る時に知っておきたいポイントについて私が書かせていただきました。
都市圏では26日頃に書店に並ぶ予定です。
1800円(税抜き)318頁。アーク出版より。
ISBN978-4-86059-082-6

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2009年11月21日

「kotori_House」がはじまります

「kotori_House」がはじまります。
実は、私のブログを見てくださっている方には見覚えがあるかもしれませんが、昨年も「kotori_House」という名前がありました。
実は、築70年の良い雰囲気を持った家屋の改修工事として計画が進んでいたのです、諸般の事情から新築で再スタートをすることになりました。
でも、今回の計画の方が「kotori_House」という名前がぴったり来るような気がしています。
さて、どんなお宅になるのか。がんばって取り組ませていただきますので、よろしくお願いいたします。

2009年11月24日

「小さな家の気づき」---塚本由晴

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「小さな家の気づき」
著:塚本由晴 発行:王国社
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建築家の塚本由晴氏は発見します。
敷地に対して家を十分に小さくすると得られる自由を。
私はこの本を、その発見のプロセスのドキュメンタリーとして読みました。
そんなのあたり前のこと?
しかし、現在の家づくりは、家を十分に小さくすることが難しくなっています。

家は大きい方が良い。
だから、法律で許される限りあらゆる手を使って大きく大きく作ろうとする。
土地の値段が高価だからそれに見合った大きさの建物を造らないと損をする、etc....

また、建物の配置についても縛られている。南面信仰。猫も杓子も敷地の南側を開けて建物を北側に寄せて大切な部屋を南向きに配置している。南向きが絶対に良いという考えです。でも、そんなことはないのです。夏の日差しは避けた方が良い。南向きの部屋は夏の暑さから逃れられない。夏場の北側の部屋の快適なこと。
南から直接入ってくる強い日差しの魅力もありますが、北側の窓からの回り込んでくる優しい光も魅力的。昔から、あえて北側に庭をとったりしてきた日本人の光に対する感性、さらには、明るいばかりではなく薄暗さの魅力も感じていた感性。

敷地に対して法律で許される目一杯の大きさの建物を北側に寄せて建てる。画一化されてしまった家づくりのそのような考えから自由になること。実は、そうした画一化された考えが日本の街並みから魅力を奪っているのではないかということ。

塚本氏の現在に至る言説をトレースしているわけではありませんので、その後、どのように彼の論理が展開していったのかを私は知りませんが、ここにある発見の大切さは、今こそ重要な意味を持ってきていると感じているのは、私だけではないと思います。

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2009年11月26日

木の研究会で栃木へ

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このほど本が完成した「木の研究会」の有志で、11月20日になりますが、「栃木県林業センター」と「栃木県集成材協業組合」にお邪魔してきました。
今回のコーディネイト役はU建築工房の丸山純夫さんです。

最初は「栃木県林業センター」。
こちらでは木材や木構造に関する各種実験をやってくれます。私たちがお邪魔した時に、梁材の破壊試験と柱材の破壊試験を実際にやってみせてくださいました。

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2009年11月27日

amazonにも出ています。

「やっぱり、木の家がほしい!」
amazonでも出ていました。
なんだか、うれしくなって投稿です。


2009年11月28日

第十六回 大多喜の森を訪ねる見学会 報告

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今日は、第十六回「大多喜の森を訪ねる見学会」でした。
秋の一日、大多喜の自然の中で、参加者の皆様、それぞれの目的をお持ちになってのご参加でした。

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2009年11月30日

建築家が選んだフローリング展@すまいFabギャラリー

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昨日から、すまいFabギャラリーにて「建築家が選んだフローリング展」が始まりました。
企画は6月の「ちっちゃな家展」と同じく「A to A Project」です。
会場は、建築家来馬輝信さんの事務所に併設されている「すまいFabギャラリー」。
総勢17名15組の建築家が、日頃定番として使っているフローリングをご紹介しています。
ということで、昨日はオープニングパーティーに参加してきました。

会期は12月6日まで。朝の10時から夜6時まで。
おもしろ発見がきっとあるでしょう。
ぜひ足をお運びください。

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