M-1
M-1にお住いになっている方のご好意で見学させていただくことができました。
「M-1」と言っても漫才グランプリではありません。
「セキスイハイムM-1」という1970年に発表されたユニット式住宅です。
開発に関わったのが建築家の大野勝彦氏。
「無目的な箱」と呼ばれた2.4mX4.8mの平面モジュールで高さが2.7mという鉄骨のラーメンフレームをひとつの単位として、その組み合わせで住宅をつくるシステムなのですが、デビューとなった1970年代当時としても画期的なシステムでした。
単位モジュールの組み合わせ方など、M-1が紹介されている書籍の情報ではよくわからなかったことが、実際に見学させていただくとよくわかりました。
面白いのは、ひとつのユニットが仕上げまで工場で完全に完成されていて、それを現場でつなぎ合わせる方式が徹底されていたこと。工事中、というか組み立てている時の写真も残されていて、それも見せていただきましたが、とても新鮮でした。
工業化住宅が進もうとした一つの方向がはっきりと明確に実践されていたのだなと思います。
M-1のデビューの後「工業化住宅」は「商品化住宅」に変貌してゆき、M-1は「商品化住宅」になりきれずに広く普及することはなかったのですが、これからの住宅を考えるときに、M-1が示した一つの方向性は再評価される必要があるのではないかと思っています。