« 2011年08月 | メイン | 2011年10月 »

2011年09月 アーカイブ

2011年09月01日

仮設住宅考

110826-fujiwarakasetu.jpg

今回、東北に行った目的の第一は仮設住宅の視察でした。
家づくりの会の先輩建築家藤原昭夫さんが提案し実現した宮古の仮設住宅を中心に、アトリエ天工人が中心となって提案されているトレーラー型の仮設住宅も石巻にあるというので見にゆき、メディアで話題になっている住田町の仮設住宅も見学してきました。
上の写真は藤原さんの仮設住宅です。

仮設住宅とは災害で家を失った人たちを一刻も早く避難所生活から開放することを目的に作られる住宅です。一刻も早くですから、いちいち設計している余裕はありません。プロトタイプ化されていて予算も決まっています。1〜2ヶ月程度のうちに入居というような厳しいスケジュールで建設されます。しかし、今回は建設地がなかなか見つからずに仮設住宅の提供が大幅に遅れました。

ちなみに、中越地震の時には私の実家がある長岡ニュータウンという高台の住宅地で、今まさに販売を開始しようという宅地、つまりインフラも全て整った更地が沢山にあったため、そこを使ってあっという間に仮設住宅は完成していたと思います。山古志村の人たちはほぼ全員がそこに建てられた仮設住宅にそれほど間をおかずやってきていました。

藤原さんは厳しいスケジュールという突き付けられた条件のなかで、用意されていたプロトタイププランを使うことから始められたそうですが、その9坪平屋のプロトタイプでは4畳半の個室が簡易な間仕切り壁を隔てて2つ並んでいました。たしかに個室が2つということにはなるでしょうが、これでは使い勝手があまりにも良くない。そこでこだわったのが間仕切り壁を建具にするという提案でした。予算が決まっているプロジェクトです。簡易な間仕切り壁の部分を建具にしただけで大幅なコストアップになるのはわかっています。それでも、その仮設住宅で繰り広げられる人々の生活を考える時に、安易な解決は絶対にやってはいけないことだと藤原さんは考えたに違いありません。

実は、先の中越地震のあと、実家がそばにあったということもあり、帰省するたびに仮設住宅の前を通ることになりました。仮設住宅は2年間で退居することが前提です。仮設住宅利用者はその2年間で新しい生活への地盤を固めなくてはならないのですが、長岡ニュータウンの仮設住宅は5年経っても、少なくない数がそこにあり続けたのでした。
中央に対して地方は高齢化が進んでいます。家を失ったとしても新しい家を建てるような余力を持った人はそれほど多くはないのです。仮設住宅に入ったはいいけれども、退居を約束した2年後に新天地のあてを思い描きながら入居される方はほとんどいないのだと思います。
仮設住宅は2年で退居が原則なのかもしれませんが、高齢化社会ではそれはとてもとても難しいことだと思います。とすれば、2年間我慢してもらえば良いというような家を作るのではなく、5年間ちゃんと住める家を提供しなくてはいけないでしょう。5年間ということになれば、家は自在に使えなくてはいけないでしょう。間仕切り壁ではなく建具で仕切るということはとても柔軟に人々の生活を受け止めてくれることでしょう。
そして、そこにはコミュニティがちゃんと設計されている必要があります。人と人がつながることもちゃんと考慮されていなくてはいけない。実は遠野にあった仮設住宅ではそうしたコミュニティ空間が仮設住宅の中に実現されていたのです。
遠野でそのようなことが実現できたのは、被災地から少し離れていたために、ちょっと冷静になれる時間があったからではないでしょうか。スケジュールをきっちりと守るのは緊急事態においては一番大切なことだと思いますが、いろいろ考えさせられもしました。

震災から5カ月半たった今。仮設住宅から復興住宅へと少しづつですが人々の関心も移っているのかもしれません。被災地にあったタマホームの営業所には沢山の赤い旗がたなびいていました。それは、私には悪いことには見えませんでした。新しい家を持つということは、次の世代の人々にとっては大きな心の拠り所となるに違いないのです。
そして、タマホームの旗を見た時に私も旗を挙げなくてはいけないと思ったのです。
そこにあるのはローコストの世界です。経済的な負担をできるだけなくしたところにある、自分のこだわりをあきらめないで実現する家。工業化によるスケールメリットを生かしながら、自由であること。そんな家が可能なのか?自問自答。そのひとつの答えをもうすぐ発表できると思います。

2011年09月03日

朝やけ虹

110825-asayake-niji.jpg

東北に旅立とうという8月25日の早朝。朝焼けの空に虹が出ていました。

2011年09月05日

おたんじょうび

110904-tanzyoubi.jpg

昨日は、家づくり学校の3年生コースで家づくりの会の大先輩、川崎君子さんが手がけられた茶室を拝見させていただくとともに、お茶席を体験させていただくことが出来ました。もちろん、川崎さんの講義付きで、茶室の設計の基本を知ることが出来ました。今まで関わる機会のなかった世界です。大変関心のある世界でしたので、とても勉強になりました。
さて、この日は家づくり学校の校長先生である建築家の泉幸甫さんのお誕生日ということで、学校の受講生がサプライズを用意してくれていました。
こんなふうに祝ってもらえるなんて、泉さん、なんて果報者なんでしょう。

2011年09月06日

建築家の心象風景-1 泉幸甫

110706-izumikousuke.jpg

建築家の心象風景-1 泉幸甫
著:泉幸甫 出版:風土社
amazon

家づくりの会、家づくり学校でも大変お世話になっております、敬愛する建築家泉幸甫さんの本です。
この本は建築家の作品集というよりも建築家の自叙伝のようなところがあって、ひとりの建築家の生き様までもトレースして人生と作品のつながりを浮き彫りにしようとしている、そんな感じの本です。
思えば、建築設計事務所を独立してやるというのは、これはもう生き様の問題です。自分の考えと世界観への共感をもとに、クライアントも施工者も一丸となって一つのものを作り上げるのが建築です。そうした建築を成し遂げるという生き方を選ぶということが、独立して設計事務所を営むということにほかなりません。
泉さんの本を読みながら、そんなことを考えました。

2011年09月07日

この風景・・・

110824-konofuukei.jpg

どこかで見たことのあるこの風景は、NHKのドラマ「おひさま」のために作られたセットです。長野県の堀金というところにあります。この夏休みに松本にいるときに行ってきました。
あずみの国営公園の敷地の一部を、とはいえ広大な土地ですが、NHKが借りあげて、この風景をつくったのだそうです。もともとそば畑だったわけではなくドラマのためにそば畑にしたのだとか。すごいですねえ。
でも、すべてをすべて人の手で作れるわけではないでしょう。安曇野に残っていた風景にそもそも力がなければ出来なかったでしょう。風景の残り香を上手に育ててこのドラマのセットは出来上がったのだと思いました。

2011年09月08日

住宅医スクール東京 第四回目

昨日は「住宅医スクール東京」の第四回目。
第三回目に引き続き耐震改修のお話です。

<第一講義 構造的不具合の原因と対策-3 講師:鈴木竜子さん>
山辺さんの事務所でご活躍しておられる、鈴木竜子さんのお話です。
今回の東北を襲った地震は周期が1秒に満たなかった。木造に被害が出るのは周期が1秒前後で阪神淡路の地震の周期は1秒だった。そのために、東北では地震の被害は大きくならなかったとのこと。
そして、きたるべき地震に対応するためには地震で起こるうる被害について良く知ることが大切だということで、阪神淡路・中越地震での被害を写真でみながら解説。中越地震で崩壊した酒蔵が屋根面の水平剛性が足りないことが原因だったことなど。
また、そもそも、耐震診断は大規模の地震が起きたときのことだけを考えたものであり、新築の場合の構造設計が中規模地震の時のことも考慮するので、考え方が大きく違うということです。
耐震改修としては接合部にかかる引張力で、接合部が外れてしまうことが一番怖い。そのため接合部の補強は大変重要だということです。
あと、柱の根継ぎをしているところでは筋交いによる補強を避けて構造用面材を使うべきだとか、実用的なおはなしも数々あって、大変有意義な講義でした。

<第二講義 既存住宅改修の実践-1 講師:豊田保之さん>
京都で活躍されている建築家の方で、今回の講義はもっぱら実践にそくしたものとなっていました。
伝統木造住宅の実例では、延べ床面積で100坪の大きな古民家を二世帯住宅に改修する工事で行われた耐震補強について。事前の詳細な調査では、24人日の作業量がかかったとのこと。0.24人日/坪です。その多くが学生のボランティアだったために、専門的な知識を持った経験者が集まれば労働時間はもっと短縮できるということです。それにしても、調査にかける時間がすごいですね。
現代木造住宅の実例では、延べ床面積35坪の一般的な在来工法の住宅で築年数も30年です。詳細調査委にかかった労働時間は16人日。伝統木造に比べて規模が小さいので時間はその分減っていますが0.46人日/坪と規模による割合からみると2倍弱です。逆に一般的には35坪程度の物件が多いでしょうから、この規模での調査にかかる時間を基準にして考えたほうがいいでしょう。
質疑でも、この点が取り上げられていました。

<第三講義 既存住宅改修の実践-2 講師:鈴木竜子さん、佐藤孝浩さん、豊田保之さん>
第三講義は趣向を変えて、豊田さんが構造設計者のお二人に、耐震改修に当たっての実践的質問コーナー。佐藤さんは第二回でも講義をされていた桜設計集団で構造設計をやっておられるかたです。
実はこの第三講義が一番面白かった。日頃、耐震改修についてどう判断したらいいのかと悩んでいた事柄が数多く出てきていて、そのひとつひとつが興味深いものばかり。その質問に対する専門家の回答も大変面白かったです。

というわけで、次回10月の第四回目は、温熱改修についてです。こちらもとっても楽しみです。

2011年09月09日

岩手銀行中ノ橋支店

110910-iwateginkou.jpg

盛岡市の中心部にある岩手銀行中ノ橋支店。

明治44年4月に、盛岡銀行本店として、3年の歳月を費やして完成したそうです。煉瓦造鋼板葺3階建、延べ面積1020平方メートル。使用した煉瓦約91万個、総工費13万円余、とのこと。設計は東京駅の設計者でもある工学博士辰野金吾、岩手県出身の工学博士葛西万司の両氏。(以上、情報は岩手銀行HPより引用)

緑多い盛岡城跡である岩手公園に近く、中津川にかかる中ノ橋のたもとにたっています。
現在はこの建物は使われておらず、私も内部は見学できませんでしたが、青く澄み切った盛岡の空に煉瓦の色が綺麗に映えていて、建物のスケール感もプロポーションもディティールなど細部のデザインも、しっかりと時間をかけてデザインされているなあと思いました。
やはり、建築物は長きにわたり人々に愛されるもの。その時その時の流行ではなく長い時間にさらされても生き残ってゆくデザインであるべきだなと、こういう建物を前にすると強く思いますし、自分がやっているデザインに対しても、しっかりしなくちゃと背筋が伸びますね。

2011年09月10日

Co.But@_House---基本設計進行中

110910-kihonsekkei.jpg

「Co.But@_House」は基本設計進行中。
基本設計は家づくりの要です。敷地を最大限に生かしながら、これから始まる生活をより豊かなものとするために、どんな可能性があるのかを探ってゆきます。
設計者の私の役割は、住まい手の声に耳を傾け、住まい手の生活を思い描きながらいくつかの選択肢を提案します。その提案をもとに、ああでもないこうでもないと意見を交わして、ひとつの着地点にまで向かってゆきます。
着地点は最初からはみえません。プランを作り、模型を作り、住まい手との話し合いのうちに見えてくる。その時に、私たちはプロとしてどのようなアドバイスが出来るのかが問われます。
「Co.But@_House」は大きな二つの選択肢、それは互いに矛盾するものでした、がひとつの方向に重なってきています。基本設計進行中です。

2011年09月11日

高田の松

110910-takadanomatu.jpg

陸前高田の松原は一本だけ残して津波にさらわれてしまいました。その流されてしまった松材を集め、この数珠が作られました。陸前高田の復興、そして被災された東北地方の復興を祈願し、大小一対の数珠を購入させていただきました。

2011年09月12日

富士山だけがみえない

110911-fujisan.jpg

日曜日は家族とハイキング。富士山を見ようと、富士五湖周辺にあるピークに登ることに。当初は、山中湖の北側にある石割山に登る予定でしたが、河口湖を過ぎたあたりで雲行きが怪しくなり山中湖では大粒の雨に。富士山周辺は局所的に天候が変わります。空を見上げれば富士山の西、本栖湖方面が明るいようですので、急遽予定を変更して本栖湖へ。最初は竜ケ岳を考えましたが、歩き始める時刻が遅くなってしまったことと、家族の体調も万全ではないようなので1200mほどの烏帽子岳に登ることにしました。
登っているといろいろな色やかたちのきのこが生えていて、子供たちは大喜びです。天気は時折強い陽射しも指して予定を変更したのは大正解。心地良い風もときより吹きます。
一時間ちょっとで山頂に到着。NHKの中継アンテナのたつ地味な山頂です。展望良好とのことでしたが、あいにく富士山だけがみえない。一方の竜ケ岳は家に帰ってきてガイドブックを見れば気持ちの良さそうな登山道。そちらにしておけばよかったかな。でも、体調が一番大事ですから、今回は仕方がない。
それにしても、富士山を見に来たのに残念です。
というわけで、次回は体調を整えて竜ケ岳を目指して来たいですね。

2011年09月13日

食べてみます?

110911-tamagotake.jpg

烏帽子岳の登山道で見つけた毒々しい赤いきのこ。
子供たちも「わーっ!毒々しい!」と、大騒ぎです。
「すごいね、きっと毒キノコだよ」とわいわい。
ところが、帰り道、道路脇の露店でこのキノコが並んでいるのを見かけてびっくり!
これ、食べられるの?
みなさん、どう思いますか?

続きを読む "食べてみます?" »

2011年09月14日

mokusei_House(R)---耐震補強

110829-taishinhokyou.jpg

「mokusei_House」は改修工事。暑い夏を乗り越えながら工事進行中です。

木造住宅の改修工事では、必ず耐震診断を行ないます。

耐震診断は評価点として結果が出てきます。その結果が1.0以上であれば、阪神淡路のような巨大地震が来ても、倒壊はするけれども中にいる人が建物の下敷きになって圧死してしまうということはない程度に地震に対して強いということになります。建物は壊れてもひとが死んでしまう確率を可能なかぎり下げるということです。これが診断の基準です。

一方、巨大地震が来ても倒壊しないのは評価点が1.5以上ということになっていますが、評価点を1.5以上にすることは工事としても大変です。大変だから、それはコストもかかるということです。さらには、自然現象は未知な部分も多く想定外ということがおこりますから、評価点を1.5以上にすれば何が起こっても絶対に倒壊しないというわけではないのです。
こうしたことを毎回、住まい手さんにご説明しています。その結果、命の安全を最優先しコストパフォーマンスに優れた評価点1.0以上になるように補強計画を立てることが多くなります。

耐震診断の結果をみて、耐震補強計画を行います。
「mokusei_House」では、耐震診断の結果はあまりよろしくありませんでしたので耐震補強工事を行うことになりました。写真は筋かいを追加していれたところです。これで、一般診断法による評価点を1.0以上になるように計画しました。

ところで、耐震診断には「一般診断法」と「精密診断法」があります。「精密診断法」は建物の剛心と重心の関係を偏心率という数字で出す必要があり、その計算がちょっと面倒であることと、建物の傷み具合を細かく調べる必要がありますので、調査に時間がかかります。「一般診断法」ではその点が手軽で手計算でも簡単にできるようになっていて、構造の専門家でなくとも講習会を受けた建築士ならば出来るようになっています。

「mokusei_House」では当初は「一般診断法」に基づいた耐震診断を行ない耐震改修計画も「一般診断法」をもとに考えていました。ですが、本来は耐震補強計画は「精密診断法」をもとに行うことが必要とされています。ただ、それでは、耐震改修工事の敷居が高くなってなかなか進まない。日本国内には大地震で倒壊の恐れのある家屋がたくさんあります。それを一件でも多く早急に補強して大地震に備えないといけない。そういうわけで、ある意味、特例で「一般診断法」にもとづく耐震改修も認められているというわけです。

アトリエフルカワでも当初は「一般診断法」による耐震診断と耐震改修を行っていました。しかし、それでは、診断も補強計画も精度が低いということを、やればやるたびに実感してきました。そこで一念復帰、「精密診断法」を自分で出来るようにしたのです。

「mokusei_House」でも耐震補強計画を「精密診断」で評価しなおしてみましたら、なんと評価点が1.7以上になったではありませんか。これはすばらしい。「一般診断法」による耐震補強では、どうしても安全側に判断がいってしまうようです。安全側であれば問題ないのですが、必要十分の改修範囲を「精密診断」ではもっと厳密に考慮することが出来ますから、改修工事のコストの調整幅が広がります。これは、住まい手にとっても良いことですよね。

2011年09月16日

ストック型社会とシェアハウス・デザインリノベーション

シェアハウスがこのところ人気なのだそうです。
昨日のFacebookでシェアされた記事です。

「交流」「共同」が魅力のシェアハウス 震災と大手参入でブーム再燃の兆し(週刊ダイアモンド)

この春まで大学院で集合住宅の研究に関わっていたうちのスタッフに聞くと、建築学会の研究論文もシェアハウスをテーマにしたものがとても多くなっているのだそうです。
そのスタッフに「ひつじ不動産」って知っていますか?と聞かれて、勉強不足の私は全く知らなかったもので、一生懸命ネットで検索して調べてみました。「ひつじ不動産」というのはシェアハウス専門のポータルサイトなんですね。

価値観を共有したものが一つ屋根の下で一緒に暮らすというのが、このところのシェアハウスの基本コンセプトのようで、「ひつじ不動産」でも「キーワード=価値観」が物件を探すときの大切な要素になっています。

シェアハウスの住人は一生そこで暮らすということはあまり考えてはいないようです。定住よりはその時の価値観が大切ということなんですね。そして、最終的には同じ価値観を持ったものが集まるグループホームというシェアハウスにたどり着くのでしょう。

じつは、数年前のことです。シェアハウスにこれから人気が集まるだろうなと、賃貸アパートの計画を相談されたときに提案してみたのですが、その時は完全無視されて実現ならずだったのですね。この数年でずいぶんと変わったということでしょう。

この変化の要因は色々分析できると思いますが、それよりも、戦後の復興期から続いてきたマイホーム至上主義といいますか、持ち家志向が、大きく変わってきているのだなという点が面白いと思いました。

一方、これは今日のFacebookでシェアされた記事ですが、長期優良住宅への関心の高さが持続しているのがわかります。

長期優良住宅認定 3カ月連続で1万戸超(新建ハウジング)

長く住み続けることが出来るというのが長期優良住宅です。私も社会が消費型からストック型へ変わってゆくために長期優良住宅という制度は大切だと考えています。この記事を見ていると持ち家志向が決して弱くなってはいないということもわかります。シェアハウスの動きと相反する動きのようにみえます。

そんなことを考えていると、今度はスタッフが「ブルースタジオ」って知っています?と聞いてきます。はたまた不勉強を露呈している古川ですが、全く知らないもので、こちらもせっせと検索してみますと、デザインリノベーションで不動産を有効活用しようというところみたいです。

ホームページを見てみますと、実におしゃれにリノベーションされた物件が並んでいます。すべて住宅です。でも、そのおしゃれ感は、どこかショップのような感じがあります。あるいは、カフェみたいな感じです。ショップもカフェも、日常空間ではありません。要するに、今まで住宅になかった感じがそこにはあるのですね。一見して、こういう空間は飽きるんじゃないかなと思いました。でも、よく考えたらこれらは賃貸なんですね。飽きたら引っ越せばいい・・・。そういう考えも成り立つのでしょう。

ただ、ブルースタジオは中古住宅のリノベーションがメインです。箸にも棒にもかからなかったボロボロの中古住宅を、大勢の人が住みたいと思える素敵な空間に変身させているわけです。これは実はストック型社会を実践しているわけです。

長期優良住宅とデザインリノベーションが、この時、私の頭の中でひとつに結びつきました。
スケルトンとインフィルの考え方です。
長期優良住宅で提供されたしっかりとした住まいの箱をスケルトンとして、そこにデザインリノベーションで息を吹き込みながら使い続けてゆく。
それは、持ち家でなくて良いですね。社会のストックとしてシェアされるスケルトンに、自分の価値観を実現するためのデザインリノベーションで生まれた空間を価値観を共有する者どうしで住むという、シェアハウスも成立します。

社会は、スケルトンの箱を「生産する側」と、デザインリノベーションで「再生する側」に別れて協業してゆくことになるかもしれません。そして、その時、私が考えるハーフビルドの考えが、デザインリノベーションの「再生する側」の有効なツールとなるに違いありません。

2011年09月19日

家づくり学校

110918-iedukurigakkou.jpg

昨日はNPO法人家づくりの会で行なっている「家づくり学校」の講師を努めてきました。
テーマは「木から考える」。
私が最初に木の品質についてのお話をして、そのあと、松澤静雄さんが流通のことと木を使う実践例の紹介という構成。
家づくり学校は今年で第三期目。2009年に1年生コースから始まって、昨年は2年生コースを、そして今年は3年生コースを開設しています。

昨日は1年生コースの第五回目でした。

家づくり学校は住宅の設計を志す人たちに、家づくりの会のメンバーが自らの実践にしてきたことに基づいた、より実践的な講義をしてゆきます。
住宅のほとんどは木造で、その木造を支えている木についての知識は、設計事務所、工務店ともども、意外とないのが現状。少しでも木について知ってほしいとお話させて頂きました。

講義のあとは好例の懇親会。参加者も多く、大いに盛り上がった懇親会。懇親会のあとは二次会ということで私の事務所にて受講生が数名よってくれて、ビールなど飲みながら夜のふけるのを楽しみました。

こうして次の世代の人達とつながっていゆくのはいいものですね。

なお、家づくり学校1年生コースは途中からの受講も可能です。詳しくは家づくりの会のホームページを御覧ください。

「フクシマを見つめて」---大江健三郎

2011年9月19日毎日新聞朝刊第五面に掲載された大江健三郎の文章です。

2011年09月21日

都内某所にて台風来襲

110921-kinoienohon.jpg

今日は都内某所にて朝から夜の9時近くまで終日打ち合わせ。
その間に台風来襲。窓の外を横殴りの雨が降っていました。
打ち合わせは四分の三まで終了。
木の家の本の打ち合わせです。
木の家のことを絵解きで伝えるフレンドリーな本になります。

2011年09月22日

上り屋敷の家

110916-agariyasiki-1.jpg

先週のことになりますが、建築家の若原一貴さんが設計された「上り屋敷の家」を拝見させていただきました。
築10年近いということでしたが、しっかりと組み立てられた空間のプロポーションは、古びずに美しくそこにあり、老練な落ち着きさえ感じます。これが若原さんが20代の時のお仕事なんだそうで、ちょっとびっくりです。久しぶりに建築を見せていただいたなあと思いました。

続きを読む "上り屋敷の家" »

2011年09月25日

kotori_House---半年点検

110924-hantoshitenken-1.jpg

昨日は「kotori_House」の半年点検にうかがいました。
竣工後1年目に「1年点検」を行うという話は聞かれたこともあると思いますが、アトリエフルカワでは半年点検も行なっています。
アトリエフルカワの設計では無垢の木をふんだんに使っています。無垢の木は梅雨時の湿気ている時と冬の乾燥している時の様子を確認しておくことがメンテナンスのために必要だと考えています。そのために半年ごとの様子を見ておくわけです。
室内の漆喰の壁や天井のペンキにもヒビ等発生していませんでしたし、無垢板のフローリングや天井板も問題なし。
外構工事で植えたエゴノキが先日の台風で海から運ばれた塩で枯れてしまっていて、それだけがとても残念でしたが、アプローチの草花も少しずつ地に根を下ろしている感じです。

続きを読む "kotori_House---半年点検" »

Co.But@_House---基本設計完了

110925-kihonsekkei.jpg

「Co.But@_House」の基本設計完了。
いくつかの課題をじっくりとお話ししながらひとつの着地点を見つけることが出来ました。
写真は記念撮影をするコブタちゃんです。

2011年09月26日

「香港裏グルメ-路地的・女子的」---池上千恵・小野寺光子

110922-honkon-onodera.jpg

ブログ友達としてお付き合いさせていただいている小野寺光子さんが挿絵を描かれている本「香港女子的裏グルメ」が人気ということで、そのおかわり「香港路地的裏グルメ」が出ました。
見ているだけでお腹が減ってきます。おいしそうな写真が満載。香港、裏グルメツアー、行ってみたい、という、とってもとっても、楽しい本です。

続きを読む "「香港裏グルメ-路地的・女子的」---池上千恵・小野寺光子" »

2011年09月27日

Miles Davis Quartet - My Funny Valentine

急に寒くなってきました。
こんな時にはミュートトランペットの音色が心地良いですね。

続きを読む "Miles Davis Quartet - My Funny Valentine" »

2011年09月28日

振り返らないMilesと振り返ることしか出来ない私たち

今の私たちが、Miles Davisの歩いた足跡をたどってみるというのはどういうことなのかと考えています。Milesは決して過去を振り返らなかったと言われています。生涯一度だけ死ぬ間際に行われた再開セッションをのぞいては、確かに自分のフットプリントをもう一度踏むようなことはしていなかったわけで、それはもうそれだけですごいことなのですが、私たちはCDや残された映像の記録でMilesの歩んできた足跡を振り返ることばかりやっています。すでに死んでしまったMilesのフアンに残されているのは、彼の過去を掘り起こすことでしかありません。

そんな振り返り企画としては、これはもうすごすぎる企画物で、22枚のCBSのMilesのオリジナルレコードが入っていて、なんと5800円強。1枚250円程度とうことですが、そのCDのどれもが、愛聴盤として抱いて眠れるくらいのレコードなのですから凄すぎます。このBOXセットを買って、一気にMilesを聞くと、Milesが大いなる未知を切り開いてきた偉大な先駆者として、いつの時代もそこにいたということがよくわかるというものです。ただ、70年代の凄まじいライブの音源が入っていないのだけが物足りないでしょうか。

たしかに、Milesのそれぞれの時代に残した音楽は今でも魅力にあふれています。しかし、私たちはMilesの足跡から何を学ぶのかは、Milesが私たちに問いかけ続けるくれている問題なのだと思います。

2011年09月29日

goma_House---1 外観・居間・サンルーム

goma_House-1 外観・居間・サンルーム
2011年7月竣工 栃木県

若いご夫婦とワンちゃんのための家。
「かもめ食堂」「西の魔女が死んだ」といった映画がかもしだす感じが好きだという建主さんは、イームズのLCWを二脚持って新しい家を計画。ミッドセンチュリーな感じの照明器具もすでに用意されていて、新しい家のイメージはしっかりともっておられました。
外壁は木童さんのカラマツサイディングにオスモのカントリーカラーを塗っていて、急勾配の中折れ屋根も建主さんのイメージから。
2010年末の資材不足と2011年3月の震災の影響で工事が遅れましたが無事に完成しました。

続きを読む "goma_House---1 外観・居間・サンルーム" »

2011年09月30日

goma_House---2 吹き抜け・踊り場・ロフト

goma_House-2 吹き抜け・踊り場・ロフト
2011年7月竣工 栃木県

居間の吹き抜けから階段で踊り場にあがります。

続きを読む "goma_House---2 吹き抜け・踊り場・ロフト" »

About 2011年09月

2011年09月にブログ「af_blog」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2011年08月です。

次のアーカイブは2011年10月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。